田中真紀子氏不出馬:関係者らに驚き 影響力の低下必至

毎日新聞 2014年11月20日 21時41分(最終更新 11月20日 22時00分)

前回衆院選で野田佳彦前首相(左)の応援を受けた田中真紀子氏(手前右)=新潟県長岡市内で2012年12月8日
前回衆院選で野田佳彦前首相(左)の応援を受けた田中真紀子氏(手前右)=新潟県長岡市内で2012年12月8日

 次期衆院選新潟5区から立候補を予定していた民主党の田中真紀子前衆院議員(70)の不出馬が明らかになった20日、民主党県連などの政界関係者は揺れ、5区の立候補予定者陣営や有権者にも驚きが広がった。田中氏は政界引退をしない意向を示しているが、地元との距離感は広がる一方で、影響力の低下は必至とみられる。「田中王国」の再建は厳しさを増しそうだ。【湯浅聖一、米江貴史、山本愛、柳沢亮】

 長岡市内にある田中氏の事務所によると、同日午前に本人から不出馬の連絡が入った。民主党県連にも同様の内容の文書で伝えられた。地元秘書は「(田中氏がオーナーを務める)越後交通グループの経営や大学の客員教授などの仕事が忙しく、衆院選に立候補できないということだった」とだけ話し、詳細は説明しなかった。

 民主党県連の内山五郎幹事長は毎日新聞の取材に応じ、「今日初めて把握した。田中家という伝統ある議席。おやめになるのは残念だ」と述べた。新潟5区の候補者について、早急に検討するとしたが、「意中の人ははっきりしていない」とした。

 田中氏の不出馬は、5区の立候補予定者陣営や他の政党にも波紋を広げた。

 4期目を目指して着々と選挙準備を進める自民現職の長島忠美氏(63)陣営の関係者は「田中氏は出馬すると思っていたが……」と驚いた表情だった。陣営は「大先輩に挑戦する気持ちで戦いたい」(長島氏)と田中氏の立候補を想定していたが、状況の変化でさらに引き締めを図る考えだ。

 同党の星野伊佐夫・県連会長は「びっくりしたが冷静に受け止めている」と語った。斎藤隆景同総務会長は「一つの時代が終わった印象だ」と淡々と話した。

 前回に引き続いて服部耕一氏(45)の擁立を決めている共産党の斉藤実・中越地区委員会委員長は「田中氏が出馬しないのは大きな情勢変化。我が陣営としては自共対決が鮮明になり好都合だ」と歓迎した。その上で「有権者の自民党への批判は高まっている。(田中氏の不出馬を)チャンスにしなければ」と話した。

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