京都男性変死:「こうして倒れてた」容疑者、部屋で再現
毎日新聞 2014年11月19日 15時00分(最終更新 11月19日 18時22分)
「真実は一つ。人殺しなんかしない」。京都・大阪の連続変死事件で、結婚して2カ月後に死亡した京都の男性の妻、筧(かけひ)千佐子容疑者(67)が殺人の疑いで逮捕された。他に結婚、交際した男性が相次いで死亡している千佐子容疑者。毎日新聞記者を自宅に招き入れ、自ら床に横たわって夫が倒れていた時の状況などを説明し、事件への関与を否定した。一方、逮捕という急展開に遺族らは真相解明への期待を寄せた。
千佐子容疑者は今年10月7日、事件現場とされる京都府向日市の自宅に毎日新聞記者を招き入れ、夫の筧さん(当時75歳)が死亡した経緯を語った。
自宅は築40年の木造2階建て。千佐子容疑者は筧さんが倒れていたという2階の6畳ほどの居間に記者を案内した。床はフローリングにカーペットが敷かれていた。
洋服ダンス、本棚、勉強机が並び、ラジカセやひな人形が入ったカバンが床に転がっている。ノート型パソコンは机から離れた場所に置かれていた。筧さんが死亡した日のままにしているという。
記者が倒れていた時の状況を尋ねると、千佐子容疑者は突然、床に横になった。「部屋の入り口の方を頭にし足を伸ばしてうつぶせで倒れていた」。昼食は餅、夕食は水炊きを食べ、筧さんは午後6時ごろから2階居間にこもったという。
午後9時40分ごろ、下りてこないので2階へ上がると、筧さんが頭を廊下に向けて倒れていた。意識はなく、すぐ救急車を呼んだという。
千佐子容疑者は首をかしげて言った。「なんでこうなったか分からない。私は毒なんか飲ませていない」
千佐子容疑者は佐賀県多久市出身。小学生の頃、父親の転勤で北九州市に転居した。高校を卒業後は大手銀行に就職した。
旅行中に知り合った大阪府貝塚市の男性と24歳の時に結婚、2人の子に恵まれた。貝塚市で夫とTシャツなどに絵柄をプリントする印刷会社を経営した。1994年に夫が急死、負債を抱えて2003年に自宅や会社工場を差し押さえられた。
その後、結婚相談所や知人を通じて知り合ったという高齢男性と3度の再婚や交際を繰り返した。捜査関係者によると、結婚、交際した男性のほとんどが死亡している。
千佐子容疑者によると、12年3月にバイクで転倒した後に死亡、血液から青酸化合物が検出された貝塚市の男性(当時71歳)とは死亡の数年前に知人の紹介で知り合った。同棲(どうせい)はせず、男性宅に通って交際していた。