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衝撃スクープ!フォークで刺されたはずの盲導犬オスカー「実は刺されてなんか、いなかった」日本中が激怒した事件に意外な新証言が……

現代ビジネス 11月18日(火)6時2分配信

飼い主は自宅でひっそりと

 本誌記者は、飼い主に会うため自宅マンションを訪れた。男性は現在、マッサージ師の仕事を辞め、自宅で療養中だという。

 玄関扉の脇に小さなサッシがあり、少し開いた窓からテレビの音声が漏れている。インターホンを押す。

 ―こんにちは、『週刊現代』と申します。

 「……はい」

 ―盲導犬のオスカー君が襲われた事件について、その後の様子を知りたくて参りました。

 「すみませんが、取材はお断りします」

 ―オスカー君は元気ですか? 
 「もう勘弁してください。色々とあったので、心身共にすっかり疲れました、すみません……。今はそっとしておいてください」

 オスカーは家の中にいる様子だ。事件以降、飼い主とひっそり暮らしているのだろう。前出の飼い主の知人が続ける。

 「騒動以来、外出することもできず、ふさぎ込んでいるんです。インターネットの掲示板に『自作自演か』、『飼い主が虐待していたんじゃないか』という根も葉もないことを書かれていると聞かされて、ショックを受けていました」

 オスカーの傷はすでに完治していて、今となっては皮膚病だったか否かを確かめるのは難しい。だが、一つ言えるのは、日本中が存在もしない「刺傷犯」に向けて、罵倒と怨嗟の声を浴びせていた、ということだ。

 評論家の呉智英氏は、オスカー事件に現代社会の問題が表れていると見る。

 「今回の事件は、事実の検証が済んでいないにもかかわらず、飼い主より周囲が先に動いてしまったがために、これほど大きな騒ぎとなってしまった。個人的な『善意』と、自分も社会に参加しているという『使命感』、この二つの暴走が招いた事件と言えます」

 一般市民だけでなく、政治家や芸能人もここぞとばかりに騒ぎ立てた。

 連日「お涙ちょうだい」とばかりに煽りまくったワイドショーに対して、元日本テレビ解説委員で法政大学社会学部教授の水島宏明氏が苦言を呈する。

 「最近では佐村河内守氏の嘘に振りまわされてしまったことが象徴的でしたが、メディアの中でも特にテレビは、泣ける話や同情を誘う話題に弱い。真偽の確認より、『話が盛り上がる』方向にばかり進んでしまう。あまりにも短絡的です」

 話題性があるからと事件に飛びついた警察もお粗末だった。

 「普段なら突っぱねる被害届を受理して、何十人もの捜査員を投入し、存在しない犯人を捜していたとなれば、税金の無駄遣いも甚だしい。捜査すべき他の重大事件があるはずです」(前出の全国紙記者)

 本人の思いもよらぬ形で、全国の注目を浴びてしまった飼い主の男性とオスカー。彼らこそが、犯人がいないこの事件の「被害者」と言えるだろう。

 「週刊現代」2014年11月22日号より

週刊現代

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最終更新:11月18日(火)6時2分

現代ビジネス

 

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