【動画】ロケット・サーフィン・地鶏で島おこし=寿柳聡撮影
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 小惑星探査機「はやぶさ2」が30日、鹿児島県の種子島宇宙センターからH2Aロケット26号機で打ち上げられる。6年50億キロの挑戦への旅立ちを見届けようと、種子島の宿泊施設や高速船の予約はファンたちですでにいっぱい。隣の屋久島や航空機から見ようと計画している人もいる。

 10月29日。種子島と鹿児島市などを結ぶ高速船の予約窓口は、午前8時半の受け付け開始から電話が鳴りっぱなしになった。チケットは運航1カ月前から予約できる。打ち上げの前日入りしようとする人たちが電話とネットで殺到した。担当者は「何分で売り切れたか分からない。気がついたら埋まっていた」。急きょ増便を決めた。

 種子島観光協会にも、ふだんの10倍以上の問い合わせがきている。発射場が見える長谷展望公園とフェリー乗り場を結ぶバスの予約は15分で満席に。「漁船をチャーターできないか」と聞く人もいた。職員は「これまで見に来ていたのは宇宙やロケット好きの人だったが、今回は初めての人や家族連れが多い」とはやぶさ人気に驚く。協会は、過去最多に並ぶ4千人の来島者があると予想する。

 近畿日本ツーリストは、発射場の北約3キロにある最も近い宿泊施設の敷地から見学できる日帰りと屋久島1泊のツアーを企画。募集枠の約100人はほぼ満席という。

 発射場から海を隔てて約40キロ。屋久島アウトドアガイド島結(しまゆい)の笹川健一さん(33)は、登山して山頂から打ち上げを見るトレッキングツアーを計画中だ。5月、客2人と山頂からH2A24号機の打ち上げを見た。「赤い炎が見えた2分後、バリバリという大きな音が聞こえて拍手して喜んだ。冬は登山客も減るので、人気に期待している」と話す。

 大阪府の公務員寺田正治さん(52)は、那覇発福岡行きの定期便を予約した。順調なら、打ち上げ時刻に種子島の西30キロほどの上空にいるはず。打ち上げ前日まで東京出張があり、打ち上げ翌日は休めない。調べた末に見つけたのが、那覇を午後0時40分に出発する便だった。「写真やテレビでなく、その場で見たい。そうすれば、はやぶさ物語と同じ舞台に自分も立てる気がするんです」(山本晋、寿柳聡、東山正宜)