インターネット接続を中継する「プロキシサーバー」の運営会社による不正アクセス事件で、警視庁が摘発した2社が、計約1500人分のIDやパスワードを不正に取得し、中国人の顧客に売っていたことが19日、同庁の調べで分かった。同庁はこれらのIDなどがインターネットバンキングの不正送金などに使われたとみている。
警視庁は19日、サーバー運営会社「大光」(東京・台東)の社長で中国籍の張徳育容疑者(30)=東京都北区、「SUNテクノ」(東京・豊島)の元役員で中国籍の高志中容疑者(32)=豊島区=ら6人を不正アクセス禁止法違反容疑で逮捕した。同庁によると、6人はいずれも「分かりません」などと容疑を否認している。
警視庁によると、両社はIDなどをブローカーから不正に取得し、中国の代理店を通じて中国人顧客に1件あたり1700~5千円程度で販売していた。大光は少なくとも計8千万円、SUNテクノは計4600万円を得ていたという。
顧客は両社のプロキシサーバーを通じ、不正取得したIDやパスワードで日本の接続業者にアクセスしていた。
警視庁は今年1~6月に300件超、4億5千万円のインターネットバンキングの不正送金が両社のサーバーを通じて行われたとみている。携帯電話レンタル会社の顧客情報約10万件が流出した事件でも、大光のサーバー経由でシステムが攻撃されていたという。
6人の逮捕容疑は今年7月、他人のIDやパスワードを使って、東京都台東区の中継サーバーから業者に不正にアクセスしたなどの疑い。
北海道、京都、埼玉など19道府県警も19日、各地のサーバー運営会社を一斉に摘発した。逮捕者は警視庁分も含めて10人以上になった。
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