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最終更新:2014年11月19日(水) 23時53分

ペット引き取り・転売、知られざるペット流通の闇

 栃木県で小型犬の死骸が大量に捨てられていた事件で、逮捕された男は「ペット業者から引き取り、現金を受け取った」と供述していることがわかりました。ペットの引き取り、転売・・・知られざるペット流通の実態です。

 ドッグセンターで保護された4匹の犬。この犬のほか、70匹以上の犬の死骸が見つかった事件は、急展開を見せました。逮捕されたのは、栃木県那須塩原市の元ペットショップ店員・木村正樹容疑者(39)です。先月30日の夜から翌日の未明にかけて、栃木県内の河川敷や山林に合わせて72匹の小型犬などの死骸を投棄したほか、8匹の犬を生きたまま捨てた疑いが持たれています。

 「報道を見て怖くなった」(木村正樹容疑者)

 今月11日に出頭した木村容疑者。取り調べに対し、容疑を認めているといいます。犬は、愛知県のペット関係の業者から頼まれ、引き取ったといいます。

 「引き取り料として100万円を受け取った」(木村正樹容疑者)

 犯行直後に木村容疑者から相談を受けた知人は・・・

 「山に捨ててきちゃったんですという相談受けて。本人も下をうつむいて、なんでこんなことしたんだろうって反省ですね。(トラックに乗せて)5時間くらいして箱を開けたら死んでいたと」(木村容疑者から相談を受けた知人)

 なぜ、木村容疑者は犬を捨てたのでしょうか。取り調べに対してこう供述しているといいます。

 「引き取った犬がトラックで搬送中に死んで、処分に困り、捨てた」(木村正樹容疑者)

 人間の都合により行き場を失った犬たち。近年、一度購入した犬や猫をペットショップやブリーダーに返したり、別の飼い主に譲り渡す人が増えています。

 そんな中、こんな業種の需要も・・・。高齢の犬を預かり、世話をして、その最期を看取る「老犬ホーム」です。飼い主が高齢になり、飼いたくても飼えない、でも殺処分はしたくないというケースが増え、全国に施設ができ始めています。しかし、そのケアは簡単ではありません。

 「シニアのワンちゃんはどうしても手間がかかる。歩けなかったら散歩に行くのもとても大変」(ドッグライフプランナーズ 井水千秋さん)

 この施設では、24時間体制でスタッフが犬の世話をしているため、かなりのコストがかかるのが実情です。施設の責任者によりますと、高齢の犬だけでなく、売れ残った犬を引き取り、転売することを商売にしている人々もいますが・・・

 「引き取ったワンちゃんをどうするかに関しては、オープンになってる部分は少ない。誰か引き取ってくれないかなという悩みを抱えている業者はいるはず」(ドッグライフプランナーズ 岸良一代表)

 今回逮捕された木村容疑者も、犬を引き取り、現金を受け取ったものの、死んでしまい、処分に困っていたといいます。

 「生命を維持するだけでコストがかかる。もともとは販売して利益を出す目的だったものが利益が出ないわけですから、誰かが一気に引き受けて(困って)処分する可能性は十分あるだろうなと」(ドッグライフプランナーズ 岸良一代表)

 全国で相次ぐ犬の大量遺棄。別の背景を指摘する声もあります。

 「(直接、お客様に見せて)全部説明してからしか販売できなくなってしまった」(ペットショップ犬kura 小川眞理子社長)

 去年9月の動物愛護管理法の改正により、ペットを販売する際には業者と客が対面することが義務づけられたため、ネット販売に頼っていた地方の業者が痛手をこうむっているといいます。

 「だんだん経営が成り立たなくなる。最終的に廃業するしかない。廃業したところに残っている犬たちは、捨てられたり遺棄されたりという結果」(ペットショップ犬kura 小川眞理子社長)

 木村容疑者が捨てた小型犬。

 「自分がやったことを反省している」(木村正樹容疑者)

 警察は、犬を引き渡した業者についても捜査を進め、捨てられた経緯について詳しく調べる方針です。(19日21:58)

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