大阪市:橋下市長「市営地下鉄、15年度中に値下げ」

毎日新聞 2014年11月19日 22時49分

 大阪市の橋下徹市長は19日の市議会交通水道委員会で、市営地下鉄の運賃について「来年度中に値下げを実現したい」と述べた。一方で市営バスに関し、審議中の民営化条例案が否決されれば、現在の87路線を「極限まで減らす」と話した。

 地下鉄・バスそれぞれの民営化条例を否決する構えの野党は、一連の発言を揺さぶりと受け止め、野党議員は「全部政治に利用している」と反発した。

 地下鉄は今年4月に初乗り運賃が20円値下げされた。民営化条例案が否決されれば元に戻すことも検討していたが、橋下市長は委員会後「今のところ(値上げは)ない。数字を分析すれば、民営化に関わらず値下げでいける」と説明した。新たな値下げは、初乗りでなく2区間目で想定している。

 現場には困惑が広がっている。藤本昌信交通局長は取材に「料金問題は検討するよう職員に指示していたが、値下げは考えていなかった」と話し、別の幹部は「値下げの根拠になる収入がない」と戸惑う。

 一方、バス路線の縮小について橋下市長は委員会で、約593億円の累積欠損金や信託事業の失敗を理由に挙げ、「公営企業では継続できない。税の投入を無尽蔵に続けるつもりはない」と述べた。

 市交通局は100%出資の外郭団体にバス事業を一括譲渡し、後に増資で民間資本を注入する民営化案を提示している。橋下市長は「僕の当初の考え方とは全く違うが、議会の意見に乗った。反対するなら理由を示さないと市民は納得できない」と、野党をけん制した。【重石岳史】

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