ある日友人から電話がかかってきました。「女子というものがさっぱりわからん」と。

友人は大学を出てまっとうに働いている20代男性で、学生時代からの彼女がいます。その彼女が女子会で彼との小さな喧嘩をした話をしたところ「そんな彼とは別れちゃいなさいよ」と非難ごうごうだったとのこと。喧嘩の内容も一応聞いたのですが、あまりに些細で私も覚えていません。喧嘩の体裁をもったノロケみたいなものです。

「こんな些細な喧嘩で別れていたら彼氏と長続きできないじゃないか」と困る友人を電話越しに聞きながら私は爆笑。だって、女子会の会話を文言どおりに受け止めるなんて、女子は絶対にしないからです。

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女子会に代表される「女子」の言動は、極めて社会的でビジネスライクな「女子という役割」を果たすためにあります。仕事の場で敬語を使用するのと同様に、女子会にはルールと役割があります。たとえば、こういったものです。


ルール1 女子会では女子の地位を最上とする

件の彼氏のケースです。女子会ではAちゃん、Bちゃん、Cちゃんがいるのではなく『女子』というひとつの社会的集団が話をしています。だからAちゃんが外敵から貶められることは女子全体の尊厳に関わる問題なのです。女子をないがしろにする男性は『女子会』において切り捨てられねばなりません。ただし、女子という役割は女子会の間だけ有効なので、バイバイしたらさっきまで女子会で散々貶された彼氏の家へ帰って一緒に寝ればいいわけです。

このルールで切り捨てられる対象は主にデートした相手。ネタ切れになると、「女子にこんな扱いをするなど許さん」という会話をするために合コンがセッティングされることもあります。また、女子会の外敵は『そのときの女子会における外敵』としていいネタになっているだけですので、次回の女子会まで同じ相手を吊るし上げることはまずありません。


ルール2 和を以て貴しとなす

女子間では社会的勝者・敗者を明らかにする言動は避けられます。そのどちらもが嫉妬や憐憫など、女子という結託を超えた感情を呼び起こすからです。したがって仕事が忙しいか聞いても、昇進については聞きません。彼氏ができた子からノロケは聞きますが、喪女に最近の非モテを報告させません。恋愛・結婚でも突っ込むのは相手が正社員かどうかぐらいまでで「で、年収いくら?」なんてやったら総スカンです。

聖徳太子は10人の言葉を同時に理解したと伝わっていますが、女子は10人で和を作ります。なお『マウンティング』に代表される女子を貶める行為をする女子は一部存在しますが、そのうち孤立します。


ルール3 諫言より甘言を選べ

「不倫始めました」や「割り勘デートなので男を振った」といった話題は女子会でも盛り上がるトピック。既婚者との恋愛の是非、奢る割り勘議論は特に意見が割れやすいもの。「あなた結婚したいのにそれじゃ厳しいよ」といった諫言をつい友情のあまり言いたくなる人もいるかもしれません。

しかし女子会でいさめる言葉は禁忌です。ルール1「女子会では女子の地位を最上とする」が破られない限りは”今の年齢なら既婚者と遊ぶのもありなんじゃない?”、”奢られたいっていう価値観は変わらないものだから早めに別れて正解!”といった甘い言葉を選びます。女性がどうしても友人をいさめたいときはサシで行うのがルール。こうして「女子」という仕事に近い関係性から、個人間の友情が育まれます。

このように、女子というのは社会的で、ビジネスライクな関係です。女子会をする=仲がいいというわけではありませんし、逆にドラマ『FIRST CLASS』のように全員悪女なわけでもありません。女子という社会的役割を果たすためにはルールを知る必要があり、女性は成人するまでにこれらのルールを押さえています。しかし、ルールがあまりに『女子』という役割特有のため男性にはわけのわからない言動が見られるのです。そんな男性には「会社のちょっと仲がいい同僚と休みに話しているようなもの」と伝えると納得いただけます。

ボーヴォワールの言葉を借りると、人は女子に生まれるのではなく、女子になるのです。

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