不正に入手した他人のIDやパスワードでインターネット接続業者にアクセスしたなどとして、警視庁サイバー犯罪対策課は19日、サーバー運営会社「大光」(東京・台東)の役員、林清司容疑者(32)ら2人を不正アクセス禁止法違反の疑いで逮捕し、同社などを家宅捜索した。
京都、埼玉など約20の道府県警も同日、各地でサーバー業者の一斉摘発に乗り出した。
大光などはネット接続を中継する「プロキシサーバー」を運営している。プロキシサーバーを経由するのは本来、接続速度を速くするなどが目的だが、ネット上の番地に当たる「IPアドレス」が置き換わり、発信元の特定が難しくなるため、サイバー犯罪の温床になっていると指摘されていた。
ほかに警視庁が逮捕したのは、サーバー運営会社「SUNテクノ」(東京・豊島)の関係者で、中国籍の高志国容疑者(32)。大光とSUNテクノの関係者である別の中国人の男4人についても同容疑で逮捕状を取っており、19日中にも逮捕する方針。
逮捕容疑は7月、他人のIDやパスワードを使って、東京都台東区の中継サーバーから接続業者に不正にアクセスしたなどの疑い。
サイバー犯罪対策課によると、大光とSUNテクノは中国に代理店を置き、中国から日本のサイトに接続できるのを売りにしていた。
両社のプロキシサーバーを通じ、これまでに300件超、計4億5千万円のインターネットバンキングの不正送金があったとみている。同課によると林容疑者らは、顧客が自社サーバーを不正アクセスに使うことを認識していたという。
プロキシサーバーを巡っては、警視庁などが2~4月、サーバー運営会社「中都商事」(東京・豊島)社長の中国籍の男らを不正アクセス禁止法違反や著作権法違反の疑いで逮捕。3月には同庁が、大手接続業者にプロキシサーバー業者と契約しないよう要請していた。
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