夫殺害:容疑で67歳女逮捕 元交際男性も変死 京都府警
毎日新聞 2014年11月19日 09時52分(最終更新 11月19日 13時56分)
京都、大阪両府内で、死亡した高齢男性の体内から相次いで青酸化合物が検出された連続変死事件で、京都府警は19日、京都府向日市の無職、筧(かけひ)勇夫さん(当時75歳)に青酸化合物を飲ませ殺害したとして妻千佐子(ちさこ)容疑者(67)を殺人容疑で逮捕した。「私は絶対に殺していません」と容疑を否認しているという。府警は保険金や遺産目当ての可能性もあるとみて追及する。千佐子容疑者をめぐっては2012年、交際していた大阪府貝塚市の男性(当時71歳)がバイクで転倒した後に死亡し、血液から青酸化合物が検出されており、大阪府警も捜査を進めている。
筧さんらは昨年11月に結婚したばかりだった。京都府警は千佐子容疑者が筧さんと結婚する前に大阪や兵庫で3人の男性と結婚を繰り返し、相手がいずれも死亡していることを確認しており、経緯を詳しく調べる。ほかにも接点のあった男性数人の死亡情報がある。
逮捕容疑は、千佐子容疑者が昨年12月28日、自宅にいた筧さんに青酸化合物を飲ませ、急性中毒死させた疑い。府警は千佐子容疑者が筧さんに青酸化合物を飲ませた詳しい経緯は不明としており、捜査本部を設置して青酸化合物の入手ルートや動機などを追及する。
事件当日の夜、千佐子容疑者は「夫の意識がなく体が冷たくなっている」と119番通報。自宅2階の居間であおむけに倒れていた筧さんは京都市内の病院に運ばれ、死亡が確認された。遺体に目立った外傷はなかったが、解剖の結果、胃の内容物と血液から青酸化合物の成分が検出された。
千佐子容疑者は任意の事情聴取に「心当たりがない」と関与を否定したが、府警は青酸化合物を入手した可能性が高いことを突き止めた。一方で、筧さんに生命保険が掛けられていたことや、千佐子容疑者に多額の借金があったことも判明した。
府警は慎重に捜査を続けてきたが、最近になり、千佐子容疑者が周辺に「死にたい」などと自殺をほのめかし、所在が一時不明になったことから、逮捕状を取って行方を追っていた。19日早朝、大阪府熊取町内で千佐子容疑者を見つけ、任意同行した。【岡崎英遠、村田拓也、土本匡孝】
◆毒物を使った主な殺人・変死事件◆
・帝銀事件(1948年)
1948年1月、東京の帝国銀行支店に東京都職員を装った男が現れ、行員らに青酸化合物を飲ませ12人を殺害
・名張毒ぶどう酒事件(1961年)