高倉健さん死去に中国政府が異例の弔意

映画『鉄道員』で有名な日本の国民的俳優
文革後上映された初の外国映画に主演、中国で愛される
中国、日本と外交的確執も文化交流では友好的
朝日新聞は号外発行

 映画『鉄道員(ぽっぽや)』(1999年)などで有名な日本の国民的俳優・高倉健さん=写真=が10日、悪性リンパ腫により東京都内の病院で死去していたことが分かった。83歳だった。これを受けて中国政府はすぐに哀悼の意を発表した。中国外務省の洪磊・副報道局長は18日の定例記者会見で「高倉健先生は中国人民に広く知られている芸術家だった。中・日両国の文化交流を促進するため重要かつ積極的に貢献した。我々は高倉先生の死去に哀悼の意を表する」と述べた。

 高倉さんが主演した映画『君よ憤怒の河を渉れ』は文化大革命(1966-76年)後さまざまな解禁措置と共に中国に導入された初の外国映画だった。迫力あふれるサスペンス形式の同映画は、10年間にわたる文化大革命で疲弊した中国の人々に強烈な印象を残した。高倉さんは後に中国のチャン・イーモウ(張芸謀)監督の中・日合作映画『単騎、千里を走る。』(2005年)にも出演した。

 中国が外交的に最悪の状況にある日本の国民的俳優に対し政府次元で異例の弔意を表明したのは、日本と北東アジアをめぐる情勢に関して中国なりの強いメッセージを送ったものだと分析される。今月10日に北京で行われたアジア太平洋経済協力会議(APEC)の首脳会談で、中国の習近平国家主席は安倍晋三首相と就任後初めて会ったものの、失礼と思えるほど冷ややかな反応を示したが、中・日間の文化交流については友好的な見解を持ち、温かな視線を送っていることを占めそうとの意図があると受け止められている。

 時事通信・朝日新聞・毎日新聞など日本の各メディアは高倉さんの死去を18日に一斉に報道した。朝日新聞は号外を発行、高倉さんの死を悼んだ。菅義偉官房長官は記者会見で、「多くの国民から親しまれ、戦後の日本を代表する映画界の大スターだった。一つの大きな時代が終わったのかなという思いだ」と述べた。その死が8日も経過してからメディアで報道されたのは、故人の意思によるものだと見られる。所属事務所は「すでに親族らにより密葬が行われており、献花・供物などは一切受けない」とコメントした。

 高倉さんは、戦争を経験した最後の世代で、最近の日本の若者たちにはない古き良き時代の男性像を示した最後のスターとして評価されている。高倉さんの友人であり、「ミスター・ジャイアンツ」と呼ばれる巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(78)は18日のインタビューで「男としてこうありたいと思えるものをずっと持っていた」と語った。

 1931年に福岡で生まれの高倉さんは、義理や人情を描く60年代の任侠映画に出演して国民的俳優と呼ばれるようになった。韓国では映画『鉄道員』(99年)の地方の駅を生涯かけて守った駅長役で有名だ。韓日歴史問題への和解を試みた映画『ホタル』(2001年)でも主演している。12年の遺作『あなたへ』では同年の報知映画賞主演男優賞を受賞するなど、生涯現役だった。今回も次回作を準備中、突然入院したと報じられている。出演映画は205本に上る。06年には映画俳優としては初めて日本政府により文化功労者に選ばれ、昨年は文化の発展に顕著な功績のあった人物に授与される文化勲章も受章した。

崔元碩(チェウォンソク)記者
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