イタリア警察、マフィアの加入儀式を初めて撮影 「毒の誓約」も

イタリア南部カラブリア州を拠点とする犯罪組織「ンドランゲタ」の加入儀式。同国の軍警察が公開した動画より（2014年11月18日公開）。

【AFP＝時事】イタリア警察は18日、同国北部で犯罪組織の一斉捜索を行い、40人の身柄を拘束したとともに、マフィア組織の加入儀式を初めて撮影することに成功した。秘密に包まれてきたマフィアの儀式が初めて明るみに出た。

マクドナルドより稼ぐ伊マフィア「ンドランゲタ」

　警察は今回の一斉捜索に先立ち、およそ2年にわたって組織の構成員らが頻繁に立ち入る場所での盗聴や隠しカメラによる撮影などを通じた捜査を行っていた。

　組織の構成員らは結社罪のほか、武器の違法取引、恐喝などの容疑で身柄を拘束された。37人が勾留され、3人が自宅監禁とされた。

　記者会見したミラノ（Milan）地検のイルダ・ボッカシーニ（Ilda Boccassini）主任検事は、「組織への加入の儀式を初めて、直接撮影することができた」と述べ、警察への情報提供者を通じてではなく、マフィアのメンバーら自身の声から直接、詳細な情報を得ることができたと語った。

　逮捕されたのは、ミラノ周辺で活動する3組織のメンバーとみられているが、南部カラブリア（Calabria）州を拠点とする犯罪組織「ンドランゲタ（Ndrangheta）」とも関連があるとされている。ンドランゲタは数百の小規模な犯罪組織のネットワークからなり、シチリア（Sicilian）のマフィアよりも秘密主義だとされており、市民に恐れられている。

　警察は、今回の一斉捜索により、イタリア南部を拠点とするンドランゲタが産業と経済がより発達した同国北部に進出していることが改めて示されたとしている。

　国内メディアによると、逮捕された中には17歳の少年のほか、「雌牛のペッペ（Peppe the Cow）」のニックネームで知られる組織ボス、ジュゼッペ・ラローザ（Giuseppe Larosa）容疑者もいた。


■裏切り者には死を

　警察が撮影した儀式の映像には、ンドランゲタのメンバーが「サンタ（Santa）」として知られる幹部クラスの精鋭組織に加入するため宣誓する姿が捉えられている。

　動画の中で新たに加わるメンバーたちは、「夜の静寂において、星の光と月の輝きの下、賢明な兄弟たちを守ること」に忠誠を尽くすことを誓っていた。

　イタリア新聞各紙のウェブサイトで公開された警察が撮影した動画によると、儀式を執り行った氏名不詳のボスは、「サンタ」の新しいメンバーたちに、ンドランゲタの行動規範から外れた場合は自分自身で生命を絶つよう命じていた。

　このボスは「今からは、お前たちを裁くのはほかの誰でもない、お前たち自身だ」と話し、「毒の誓約」と説明したものの中で、裏切り者には2つの選択肢しかないと述べた。「自分自身で毒を飲むか、これ（銃）を手に取って撃つかだ。常に弾丸は用意してある。お前たちのためにな」

【翻訳編集】 AFPBB News