国会審議:女性活躍法案は断念へ 解散にらみ
毎日新聞 2014年11月13日 00時01分(最終更新 11月13日 08時54分)
安倍晋三首相が来週中に衆院を解散する調整に入ったことを受けて12日、今国会で審議中の法案の成立の行方を巡り、明暗が分かれた。自民、公明両党は、安倍政権が「二枚看板」の一つに掲げる「まち・ひと・しごと創生(地方創生)」関連2法案については19日の成立を期す一方で、もう一つの看板である女性活躍推進法案の今国会成立は事実上断念。解散風が急速に強まる中、残り日数を指折り数えながらの選択を迫られている。【水脇友輔、田中裕之】
自公両党の幹事長・国対委員長は12日、東京都内で会談し、地方創生法案の19日成立を目指す方針を確認。自民党の谷垣禎一幹事長は、その後の別の会合で「今国会で一番大事な重要課題と考えている」と成立への強い決意を示した。
だが、地方創生と並ぶ重点課題に位置付けた女性活躍推進法案は絶望的な状況だ。12日の衆院内閣委員会でようやく審議入りしたが、委員の空席が目立ち、民主党の郡和子氏が「定足数に達していないのではないか。大変不真面目な委員会運営だ」と声を荒らげる場面も。与野党間での協議のめども立っていない。
野党8党は12日、国対委員長会談を開き、エボラ出血熱への対策を強化する感染症法改正案など「人道的・社会的」で全会一致となる法案に関しては与党に協力することで合意。民主党の川端達夫国対委員長が自民党の佐藤勉国対委員長に申し入れた。佐藤氏は「現場でやるのは構わない」と突き放したが、実際に「現場」の各委員会では法案の選択が始まっている。
今国会最大の対立法案とされた労働者派遣法改正案は、13、14日の衆院厚生労働委員会では審議せず、感染症法改正案や薬事法改正案などの質疑と採決を行うことで与野党が合意。与党は反発の多い派遣法改正案を諦め、歩み寄りができる法案を優先した形だ。
一方で、東京・小笠原諸島周辺海域の中国漁船によるサンゴ密漁問題を巡っては、自公両党が外国人による日本領海内などでの違法操業への罰則を強化する関連法案を提出する方針。野党の協力を求めて早期成立を目指す。
明暗がくっきりと分かれる中、首相が解散に踏み切れば審議未了・廃案となる法案も多いとみられ、野党側は「重要法案を投げ捨ててまで党利党略で解散するのか」(維新の党・江田憲司共同代表)と批判を強めている。