エボラ熱対策:「抜け穴」浮き彫りに 診察医師と一問一答
毎日新聞 2014年11月12日 19時27分(最終更新 11月12日 22時56分)
ありません。渡航歴があることを検疫所から知らされたので、私も本人に何回か連絡をしましたが、(電話が)つながりませんでした。
−−先生は男性のかかりつけ医ですか?
風邪をひいた時などに来院しています。
−−当時、待合室に他の患者さんはいましたか。
はい。「疑似患者」という認識がなかったので、人数は確認していませんが、10〜15人だと思います。保健所からの要請で、同じ空間にいた可能性がある患者さんのリストを作りました。「もし男性が陽性だった場合、(2次感染の)リスクを負うことになる人たちに行政からアプローチするために作ってください」と言われたので。さらに「医療スタッフは不要不急の外出を控えて。男性の検査結果が判明するまで休診に」と、保健所から要請がありました。
−−休診にしたのですか?
その日の午後2時すぎから休診としました。翌8日午前6時前に保健所から携帯電話に連絡があり「陰性判定」と知らされました。「(スタッフの)自宅待機や休診は解除していいか」と確認し、8日は通常通り診療しました。8日も休診にすれば過剰反応ととる人も当然出てくるだろうし、あらぬ臆測とパニックが一帯に起きますから。休診にした7日午後は、念のため、保健所の指示通り2種類の薬剤を使って院内の消毒をしました。噴霧器で薬剤をまいたり、患者さんが触った可能性のある診察室の机、椅子、手すりなどをふきました。
−−男性はどうして検疫所ではなく一般医療機関を受診したのでしょう。
いろいろなことの結果と考えられます。本人が渡航先を申告しなかったこと、厚生労働省の水際対策、検疫をすり抜けたこと。熱がある患者に渡航歴を聞かなかった私にも気をつけるべき点があると言われれば、そうかもしれない。事後検証のため、話を聞きたいという連絡は厚労省からまだ来ていませんが、要請があれば協力します。
−−一連の経緯を振り返ってどう思いますか?
よく考えればそんなふうに(至らない点があったと)考えますが、個人的な考え方を言うと、実際の医療現場、北海道から沖縄までの開業医がそこまでやっているか、というと疑問です。
−−「発熱の患者には渡航歴まで聞くように」という厚労省の要請は知っていましたか?
医師会のホームページから個人的にダウンロードして持っていましたが、実践しなかった。そこが過ちだったと指摘されればそうだ、としかお答えできないです。