エボラ熱対策:「抜け穴」浮き彫りに 診察医師と一問一答
毎日新聞 2014年11月12日 19時27分(最終更新 11月12日 22時56分)
エボラ出血熱の流行国リベリアに滞在した東京都町田市の60代男性が体調不良のため今月7日、渡航歴を伏せて一般医療機関を受診していた問題は、国が立てた水際対策の「抜け穴」を浮き彫りにした。男性はその後の検査でエボラウイルスには感染していないことが確認されたが、感染していれば不特定多数の人々を2次感染の不安に巻き込みかねない事態だった。知らずに男性を診察した町田市の医師が11日、毎日新聞の取材に応じ、「水際対策をかいくぐって(疑似患者が)来ることはない、という先入観があった」などと振り返った。主な一問一答は次の通り。【平野美紀/デジタル報道センター】
−−男性が来院した時、どんな症状を訴えていましたか。
来院は7日金曜の午前10時ごろ。主な症状は発熱、のどの痛み、高熱に伴うだるさや筋肉痛でした。6日夜の体温は38.6度で、受診時は38.9度まで上がっていた。本人は「インフルエンザが心配」と言っていました。
−−どんな診察を?
熱のある患者に対する一般的な診察です。のどを見て、胸の音を聞き、インフルエンザの簡易検査をしたが陰性だった。のどがはれていたので「急性へんとう炎」と診断し、抗生物質と解熱鎮静剤などの薬を出して、お帰りいただいた。
−−「海外から戻ってきた」という話は本人からは?
この段階では聞いていません。
−−男性が病院にいた時間はどれくらい?
待合室にいた時間を含めると、たぶん1時間くらい。インフルエンザの検査結果が出るまで約10分かかるので、診察室内には15〜20分弱くらいいました。
−−リベリアへの渡航歴が分かったのはどうして?
(男性が帰った後の)午前11時半ごろ、検疫から「○○○○(男性の名前)という方が受診されましたか?」と尋ねる電話がありました。「その方はエボラ出血熱が流行している地域に渡航歴のある患者さんなのですが、ご存じでしたか?」と聞かれたので、私は「本当ですか? まずいですね」と返しました。ここでパニックを起こしても仕方ないので。その後、町田市保健所からも連絡があり、職員が来院しました。男性はうちを受診した後、その事実をメールで検疫に報告したようで、そのメールを見て検疫が電話をしてきたのだと思います。
−−その後、男性との接触は?