(2014年11月18日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
米国の高等教育機関に在籍する中国人学生数の伸びが7年ぶりの低水準に落ち込んだ。だが、米国際教育研究所(IIE)と米国務省が17日に発表した報告書によると、米国の大学に在籍する外国人学生の出身国としては中国が今も最大で、伸び率は2ケタを維持しているという。
報告書によれば、米国で学ぶ外国人学生の数は今年8%増加して88万6000人に達した。中国人、特に中国本土の学部生が主に伸びを牽引したという。
中国人学生の在籍者数は今年16.5%増加し、ほぼ27万5000人に達したが、2007年以降、毎年20%以上だった伸び率からは低下した。学部生の数は18%増加し、前年の増加率26%から低下した。また、IIEの調査では、直近の学年度における中国人大学院生の総数――主に学生ビザを持つ中国人と定義される――の伸びも鈍り、前年度の17%から12%近くまで低下したことも分かった。
米大学院協議会(CGS)は先週、大学院レベルで新たに入学する中国人の数が少なくとも過去10年間で初めて若干減少したと述べた。CGSの数字は今年度の入学者数に関するもので、17日に発表されたIIEの報告書の数字よりも新しい。
習近平体制への移行が大きく影響か
中国の教育専門家らは、中国の汚職撲滅運動や雇用トレンドの変化、学生を国内にとどめておくために中国の一流大学が採用した積極的な募集方針といった要素が米国に留学する学生数の伸びを鈍らせていると指摘する。
「過去の政権下では、中国政府は特に大学院レベルでの海外留学を本当に支援してきた。手厚い奨学金を提供し、海外で学んだ人たちを積極的に昇進させた。習近平国家主席は全く異なる態度を取っているようだ」。教育コンサルタントのチアン・シュエキン氏はこう話す。
「彼(習氏)は政府職員が外国に旅行したり留学したりする機会を大幅に制限した。実際、若くて野心的な中国の官僚は、官僚機構の中で出世するチャンスを台無しにしてはいけないから、外国留学することを次第に怖がるようになっている」