大阪地検:冤罪で受刑者を釈放…被害者証言翻す
毎日新聞 2014年11月18日 17時07分(最終更新 11月18日 21時49分)
大阪地検は18日、強姦(ごうかん)・強制わいせつ事件で懲役12年が確定し服役中の男性について、「無罪の可能性が高い」として、刑の執行を停止し釈放した。再審請求を受けて再捜査したところ、事件の被害者、目撃者とされた人が供述を翻し、男性の関与を否定したという。男性は3年半服役した。【高瀬浩平】
◇強姦事件で再審請求
地検は冤罪(えんざい)だったとみて、裁判所の再審開始決定を待たずに刑の執行を停止する異例の対応を取った。再審請求中の刑の執行停止は「足利事件」の2009年6月以来で2例目とみられる。
地検によると、男性は04年11月と08年4月、大阪市内で同じ女性に性的暴行。08年7月には大阪市内で同じ女性にわいせつ行為をしたとして、2件の強姦罪と1件の強制わいせつ罪で起訴された。
捜査段階から一貫して否認していたが、11年に懲役12年の実刑判決が確定し、服役した。今年9月、大阪地裁に再審請求した。
有罪の決め手となったのは、被害を訴えて告訴した女性、事件を目撃したとする人物の供述とされる。しかし、再審請求後に地検が女性ら2人に事情を聴いたところ、捜査・公判段階の供述を翻し、実際は被害を受けておらず、目撃もしていないと説明したという。この新供述を裏付ける客観的な証拠も地検は確認したとしている。
地検は男性の要望やプライバシーを理由に、事件の詳細や2人の虚偽供述の経緯は明らかにしていない。
地検は事件自体が存在しなかったことになるとしており、「2人の新供述などが無罪の証拠になる可能性がある」とする意見書を地裁に提出した。地裁が今後、再審開始を決定し、男性に無罪が言い渡される見通しだ。
北川健太郎次席検事は「現段階で誤った捜査だったとコメントできないが、結果的に間違ったことは遺憾だ。再審請求審で適切に対応したい」としている。