Updated: Tokyo  2014/11/19 07:21  |  New York  2014/11/18 17:21  |  London  2014/11/18 22:21
 

ソニー:モバイル改革スピード問われる、韓国サムスンがお手本

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  11月18日(ブルームバーグ):今期(2015年3月期)業績の大幅下方修正を余儀なくされたソニーは18日と25日に投資家説明会を開催。問われているのは平井一夫社長の経営判断スピードだ。

期初に5000万台のスマートフォン販売と大幅増収を見込んでいたソニーのモバイル事業だが、7月と10月の2度にわたり販売台数を下方修正し、経営方針の見直しに追い込まれた。18日の投資家説明会で平井社長は、デバイス分野で積極投資する方針を示すとともに、モバイル事業については安定的な収益基盤構築が課題だと語った。

ライバルの韓国サムスン電子 は先月末に純利益が11年以来の低水準となる四半期決算を発表した。関係者によると同社はその後、スマートフォン事業の人員500人をインターネット関連に移すことを決めた。グループトップの李健煕会長が入院している中で、決算発表後わずか数週間での決断だった。

ジェフリーズのアナリスト、アツール・ゴーヤル氏は「日本企業に比べ、親族経営のサムスンの決断と実行は速い」とし、「わずかな効果でも彼らは人員と資源を投入し動きを加速していく」と述べた。

サムスンの7-9月期のスマホ事業の営業利益は1兆7500億ウォン(約1856億円)と、1年前の6兆6962億ウォンから大幅に減少した。同期間にソニーはモバイル事業で1760億円の減損を計上している。

9月17日にソニーは今期業績の大幅下方修正を発表し、今期中にモバイル事業の従業員の15%にあたる約1000人の人員削減を行うことも合わせて発表した。25日の説明会ではモバイル事業の新しい方針を示すとしている。

エンタメで収益改善見込む

18日のソニー株は一時、前日比5.8%高まで上昇したあと、11時5分現在は5%高の2446円で取引されている。

ソニーが18日都内で開いたエンタテインメント事業の投資家向け説明会で配布した資料によると、17年度の映画分野の売上高目標は100億~110億ドル、営業利益率は7~8%とした。14年度見通しは各81億ドル、6.6%。音楽分野の17年度目標は売上高が48億~52億ドル、営業利益率は10.5~11.5%。14年度見通しは各48億ドル、9.8%としている。

平井社長はこの日、今年度中に経営方針説明会を開催し、中長期の方針を説明すると述べた。9月の業績下方修正後の会見では、平井社長は中国のスマホメーカーが脅威となったと指摘するとともに、普及価格帯のスマホの販売が想定を下回ったことをモバイル事業不振の理由の1つに挙げていた。

ブルームバーグ・インテリジェンスによると7-9月期の世界スマホ出荷台数で中国のスマホメーカーの小米はサムスンとアップルに続く3位に浮上し、レノボ、華為技術、ZTE(中興通訊)も出荷量でソニーを上回った。

平井社長は5月の投資家向け経営方針説明会でモバイル事業の環境変化への対応が遅れたと反省の弁を述べた。モバイル事業のトップは16日付で鈴木国正氏から十時裕樹氏にバトンタッチされ、本格的なテコ入れが始まった。

記事に関する記者への問い合わせ先:東京 黄恂恂 xhuang66@bloomberg.net;東京 Pavel Alpeyev palpeyev@bloomberg.net

記事についてのエディターへの問い合わせ先:大久保義人 yokubo1@bloomberg.net 中川寛之, 淡路毅

更新日時: 2014/11/18 11:45 JST

 
 
 
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