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財務省に敗北感濃く 財政健全化 巻き返し狙う
安倍晋三首相が消費税再増税の延期を正式に表明したことで、来年10月の消費税10%への引き上げを目指してきた財務省の“敗北”が確定した。ただ、1千兆円という世界最悪の債務残高を抱える日本が、財政健全化の手綱を緩めることは許されない状況は変わらない。財務省は平成32年度の財政健全化目標に照準を合わせ、消費税10%超への引き上げをも見据え始めた。
「完敗だ…」。今月中旬、ある財務省幹部は大きく肩を落とした。12日、産経新聞が「消費再増税1年半延期」と報じて以降、各紙も相次いで再増税延期を報道。財務省が総力戦で目指してきた再増税の可能性は大きくしぼんだ。
財務省は官邸に対し、再増税を延期すれば、安倍政権の看板政策である子育て支援策が不可能になると再三、訴えてきた。同省幹部が自民党の若手議員や大学教授はおろか、雑誌編集者など財政に“門外漢”の人にも財政健全化と消費税再増税の必要性を説いて回った結果、再増税実現に大きな手応えを感じていた。
さらに10月31日、日銀が同日追加緩和を決め、日経平均株価は大きく跳ね上がった。黒田東(はる)彦(ひこ)総裁は元財務官で、再増税による財政再建の重要性を力説してきた経緯がある。「市場は再増税を評価している。安倍首相も無視はできない」(幹部)。財務省内には楽観ムードすら漂っていた。