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【月刊正論】
遵法精神なき外国人への生活保護支給を憂う
ところが、昭和29年5月8日に厚生省が社会局長名で通知を出しました。通知の標題は「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について」。通知の冒頭、「生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置については、貴職におかれても遺漏なきを期しておられることと存ずるが、今般その取扱要領並びに手続きを下記のとおり整理したので、了知のうえ、その実施に万全を期せられたい」としたうえで次のように述べているのです。
「1 生活保護法(以下単に「法」という)第1条により、外国人は法の適用対象とならないのであるが、当分の間、生活に困窮する外国人に対しては一般国民に対する生活保護の決定実施の取扱いに準じて左の手続きにより必要と認める保護を行う(以下略)」
実はここで述べられた「当分の間」というのが今に至るまで一度も見直されることなく続いてきたというわけです。事勿れ主義といえばそれまでですが、つまり日本人も外国人も同じように扱う。これが戦後一度も見直されることなく続いてきたわけです。外国人に生活保護を支給することに日本国民の抵抗感が少ない一因となっているともいえましょう。
直近六年間で一・五倍の外国人支給
では生活保護の現状を具体的に見てみましょう。生活保護費の国庫負担金を事業費ベースで見ると平成24年の保護費総額は3兆6284億5240万円に達し、この6年間でなんと1兆円近い伸びを見せている。民主党政権が3年3か月続いたので、ちょうどこの間に急速に伸びていることが読み取れます。