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 原発事故の避難者らと受け入れ地域は、新たなコミュニティーをどうつくっていけばいいか。そんな課題を考える会議が17日にいわき市内で開かれ、NPO法人や社会福祉協議会などで支援に関わる約90人が参加した。

 避難者の復興公営住宅への入居や住宅再建が進む一方、孤立防止やコミュニティーづくりが課題になっている。各地のNPOなどが会員となり、復興のあり方について省庁への提言などをしてきた「東日本大震災支援全国ネットワーク」が会議を主催した。

 会議で県の担当者は、復興公営住宅は高齢化率が高く、場所によっては複数の町の避難者が同じ団地に住む点も交流の壁になり得る、と説明した。県社会福祉協議会の担当者は、避難が長引く中で「交流サロンの参加者が固定化したり、住民の親族同士のトラブルが深刻化したりしている」と語った。

 その後のパネルディスカッションでは、「解決策を考える」とのテーマで5人の参加者が意見を述べた。

 富岡町からいわき市に避難する藤田大さん(44)は、賠償格差などから避難者と受け入れ側住民の間で生じる摩擦を取り上げた。摩擦を生むのは「お互いの境遇への不理解」だと指摘。受け入れ側を旧警戒区域に案内するツアーを続けてきたことを挙げ、「お互い少しでも理解が広がれば(摩擦も)中和されるのではないか」と語った。

 大熊町から田村市に避難する渡部千恵子さんは「いつまでも被災者の意識を持つのではなく、(避難先の)地域の人と仲良くやる努力も大事だ」と話した。