首相解散表明:「経済失政認めた」…野党、一斉に反発
毎日新聞 2014年11月18日 22時19分(最終更新 11月18日 23時36分)
安倍晋三首相の解散表明に対し、野党各党は「経済失政を認める解散だ」などと一斉に反発した。国内総生産(GDP)は2四半期連続で減少しており、首相の経済政策「アベノミクス」は失敗したとして選挙戦で攻勢をかける構えだ。
民主党の海江田万里代表は記者会見で、「安倍政権で非正規労働者が150万人増え、正規が9万人減った。経済政策の間違いだ」と厳しく批判。首相が民主党政権で経済が落ち込んだと指摘していることに対しては、「東日本大震災と原発事故があったが実質GDPは5%以上伸びた。安倍政権の実質GDPの伸びは1.4〜1.5%と本当にわずかだ」と反論した。
海江田氏はまた、「私たちは安倍政権と違い、分厚い中間層を再生させる。アベノミクスのほかに道はない、なんてことはない。別の道をしっかり示す」と強調。福山哲郎政調会長もブログで、「それほど経済が厳しいなら、なぜ解散・総選挙で政治空白を作り、経済対策に力を集中しないのか。投げだし解散だ」と疑問をぶつけた。
維新の党の江田憲司共同代表は「景気が確実に後退局面にある。800億円の税金をかけて解散する意味がどこにあるのか」と疑問を示した。その上で「放置すればもっと景気が悪化し、アベノミクスの正体がバレバレになるから解散するという『増税失敗解散』だ」と語気を強めた。
共産党の志位和夫委員長は「消費増税の延期は、8%増税への強行が引き起こした増税不況が原因。経済失政を自ら認めた」と強調。「実質賃金が15カ月連続マイナスなのに雇用が良くなったと説明したのは妄想だ」と指摘した。衆院選の争点に関しては「10%増税を許すかが大争点になる」との見方を示した。
野党各党は解散表明を受け、19日以降、政府が重要法案とする「まち・ひと・しごと創生(地方創生)」関連2法案などの審議を拒否する方針を決めた。「解散に大義はない」と厳しく批判しており、早くも選挙戦に突入した様相を呈している。【飼手勇介】