解散表明 復興への影響懸念も11月18日 22時51分
安倍総理大臣は、18日夜、総理大臣官邸で記者会見し、消費税率の10%への引き上げを1年半延期する考えを示したうえで、今週21日に衆議院を解散する意向を表明しました。震災の被災地で最大規模となる900世帯あまりが暮らす石巻市の仮設開成団地では、住民から復興事業への影響を心配する声などが聞かれました。
このうち、70代の男性は「選挙をする大義名分が無いのではないか。復興のテンポが遅いと感じているので優先的に進めて欲しい」と話していました。
また、1人で暮らしている80代の男性は「被災者のことを放り出しているような感じがする」と話していました。
さらに、夫と2人で暮らす64歳の女性は「まだ仮設住宅から出られずに部屋にいるとふさぎ込んでしまう人も多く、選挙どころではないので関心はありません」と話していました。
70代の女性は「選挙に税金をつぎ込むくらいなら災害公営住宅の整備を進めて欲しい。選挙で何かが良くなるとは思えません」と話していました。
また、JR仙台駅前では市民からは戸惑いの声が聞かれました。
仙台市内に住む70代の男性は、「この時期に選挙をやっていいものか。もう少し市民の苦しい生活に目を向けて欲しい」と話していました。
多賀城市に住む女性は「経済的な問題だけが争点となっていて、集団的自衛権の問題などが隠れ将来的には不安が残る。安倍総理のペースに乗せられている気がする」と話していました。
また、70代の別の女性は「今の段階で消費税率を引き上げても構わないのではないか。先送りするためならば解散する必要はない」と話していました。
友人と被災地に訪れたという女性は「消費税率引き上げのタイミングを遅らせるということになれば、いっときは楽になる気はするけれど、結局は上げることになるのでこのタイミングの選挙はフェアではないと思う」と話していました。
安倍総理大臣が衆議院を解散する考えを表明したことについて、宮城県の村井知事は「解散は総理の専権事項であり、いまが一番よいタイミングと判断されて、本日、解散を表明されたと思います。候補者の方は、消費税再増税について国民にしっかりと訴えると思いますので、みなさんも選挙に足を運び、この人なら任せられるという人に大切な1票を投じてほしいと思います」というコメントを出しました。
仙台市の奥山市長は18日の記者会見で「重要法案の審議らしい審議もなく突然解散となることに正直、驚いている。12月のいま解散総選挙というのがいい時期とは思えない」と疑問を呈しました。
そのうえで、消費税率10%への引き上げを先送りすることについて、「来年度から始まる子育ての新制度は、10%への増税を財源に充てると聞いている。増税の先送りが解散の大義になるとは思えず、社会保障政策にどのように影響するのか危惧している」と述べました。