野田毅・自民党税制調査会長

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 次期衆院選をめぐり、官邸サイドが野田毅・自民党税制調査会長(73)の公認を見送るよう党執行部に働きかけていることが17日、分かった。

 野田氏が衆院の「73歳定年」という党の内規に抵触するため比例代表から立候補できないことを理由に挙げている。ただ、野田氏は安倍晋三首相が決断した消費税率10%への引き上げの先送りや衆院解散について批判したことから、意趣返しとの見方も出ている。

 自民党は、野田氏の地盤である衆院熊本2区で、同氏と林田彪(たけし)衆院議員(70)との間で、選挙ごとに選挙区と比例代表に交互で出馬するコスタリカ方式を採用してきた。野田氏は平成24年の衆院選で2区から立候補したため、官邸サイドは次期衆院選では野田氏を2区で公認すべきでないとしているという。

 野田氏は消費税再増税をめぐり「断固として予定通り(再増税を)やらなければいけないことは党派を超えて共有している」などとして、予定通り来年10月に実施すべきだと主張してきた。今月12日には、党本部で記者団に「(衆院解散は)国民から理解されるような大義が提示されないと、とんでもないしっぺ返しを受けることもあり得る」と述べ、安倍首相の解散決断を批判する発言もした。

 このため官邸サイドは、野田氏の言動は首相批判につながると反発を強めていた。党内には首相に批判的な議員が少なくないことから、野田氏を公認しないことを「見せしめ」にする狙いもあるようだ。また、野田氏と同様に消費税再増税を働きかけてきた財務省を牽制(けんせい)する意図もあるとみられる。

 野田氏周辺は、林田氏が21年の衆院選で2区から出馬、落選したことを踏まえ「コスタリカ方式は解消されている」として、2区には野田氏が出るのが当然だとしている。熊本県連幹部も18日、谷垣禎一幹事長と会談し、野田氏を2区で公認するよう申し入れる。

 野田氏は昭和47年に衆院初当選し、当選14回。建設相、自治相などを歴任した。