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【対話の達人】論点のすり替えへの対処法 Steve Mogi

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【対話の達人】論点のすり替えへの対処法 Steve Mogi

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 相手の話をかわし、自分のペースに持ち込む方法の一つに「論点のすり替え」があります。論点のすり替えには、怒っている時や興奮している時に気づかぬうちに行っている場合と、会話の主導権を握りたい時に意図的に使っている場合があります。まずは意図せずに使っている事例です。

 女性「お願いしてたレストランの予約してくれた?」

 男性「わりー、忘れた」

 女性「え~、何でいつもお願いしたこと忘れるわけ?」

 男性「何だよ、自分だってこの間、頼んでいたビデオ録画忘れたじゃん」

 自分が責められていたのに、見事に論点をすり替え、反撃しています。

 次は、意図して使う事例。テーマは、「原子力発電に替わる代替エネルギー」です。

 A「シェールガスが最も有力です。しかし、開発に時間がかかるため原子力発電を併用し…」

 B「あれだけの事故があったにもかかわらず、まだ原発に頼るつもりですか? 被災地の人のことを考えたことはあるんですか?」

 Bの発言は、テーマの代替エネルギーを原発の是非にすり替えています。

 こうした論点のすり替えに遭遇した場合、話の落とし所や論点が何であるかを考えることをお勧めします。最初の事例では、女性の気持ちを和らげたい、あるいは波風を立てたくない場合、素直に誤った方が得策です。代替エネルギーの事例では、論点ごとに話し合うべきなので、Bの発言に対して、「今は代替エネルギーについて話しています。今ある原発の運用については別途話し合いましょう」といった発言が有効です。

 大勢で議論している時に論点のすり替えが使われた場合は、議長や進行役がうまく調整すると議論が中断せず進みます。(ICT教育研修研究所所長 Steve Mogi/SANKEI EXPRESS

 ■茂木康有 ICT教育研修研究所所長。米独豪州の企業5社で延べ30年勤務。2010年にICT教育研修研究所を設立し、企業、学校などを対象に研修、セミナーを行っている。ictraining.jp

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