>  > 芸能人が突然干される謎、芸能界の闇
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鈴木亜美、北野誠…なぜ芸能人は突然“干される”のか?芸能界を歪める芸能プロの“政治”

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 それでは、今の芸能界の仕組みも独占禁止法違反ではないのでしょうか? 芸能界の市場規模は1兆2000億円ともいわれていますが、それが違法なビジネスモデルの上に成り立っているとしたら、とても衝撃的です。それで、5年かけて調査・取材を積み重ねてまとめたのが本書です。私は芸能記者ではないので、芸能界に知り合いはほとんどいません。従って資料ベースですが、雑誌記事を2000本ぐらい集め、本は100冊ぐらい読み、過去100年以上にわたる日本と海外の芸能界を検証しました。

●引き抜き禁止協定とタレントが干される理由

--取材の結果、「引き抜き禁止協定」の存在は確認できたのでしょうか?

星野 もしなかったとすれば、芸能プロダクションのビジネスモデルは成立しないと思います。資料を当たってみても、例えば、音事協が発行した『社長、出番です。-エンターテイメントを創る人たち-』という、音事協加盟プロダクション経営者のインタビュー集の中で、新沼謙治や五月みどりなどが所属する第一プロダクションの社長である岸部清氏が「(音事協の設立は)そもそも、タレントの独立問題が背景にあって、ちょうど映画の五社協定に似た形で、親睦団体を名目に創設したわけです」と語っています。音事協がモデルとした五社協定についてもさらに詳しく調べましたが、過去、公正取引委員会が調査をしたことがあり、独占禁止法違反の疑いが持たれていましたが、法的規制が入る前に、この協定は消滅しました。

--その話と、タレントが干されることに関係はあるのでしょうか?

星野 引き抜きは業界団体内部の申し合せで防止できますが、勝手にタレントが独立してしまうことはどうにもならない。だから、タレントが独立したら、業界全体で結束してテレビ局などに圧力をかけ、徹底的に干して見せしめとし、後に続くタレントが出ないようにしなければならないのです。有名なのが、01年に脱税事件で摘発された事務所から独立しようとして干された歌手・鈴木亜美。古くは1979年に当時の芸能界で支配的な地位を誇っていた渡辺プロダクションから独立して干された歌手・森進一のケースがあります。森進一は、干されていた中で女優の大原麗子と結婚したのですが、その披露宴で仲人を務めた自民党代議士・山中貞則が「芸能界は独禁法違反だ」とスピーチしていました。つまり、芸能界が違法状態にあることは昔からいわれていることなのです。

●アメリカではタレントの労働組合が主導

--芸能界のシステムが仮に違法だとすると、どうすればいいのでしょうか?

星野 芸能プロダクションにとって、タレントは商品であり、所有物なのです。だから、タレントに対して所有権を主張する。これでは必然的に人権侵害を引き起こします。それが端的に表れているのが、AKB48の恋愛禁止というルールだと思います。それが当然のことだとタレントも思い込んでいるようですが、間違っているのではないでしょうか。タレントがモノではなく、人であることを今の構造の中で主張していくためには、まずは労働組合を結成する必要があるでしょう。アメリカのエンターテインメント業界は、タレントの労働組合が主導していますし、日本でも声優業界は労働運動が盛んで、過去には待遇改善のために声優がストライキを行ったこともあります。

--ハリウッドで俳優が仕事をするためにはユニオンに入らなければならない、という話を聞きますが、どうしてそうなったのでしょうか?

星野 ハリウッドには、スクリーン・アクターズ・ギルド(SAG)という映画俳優の労働組合がありました。12年に米国テレビ・ラジオ芸能人連合(AFTRA)と合併し、現在はSAG-AFTRAとなっております。そのSAG-AFTRAに、「いかなる組合員も、組合の協定に署名していないプロデューサー、またはエージェントのために働くことは許されない」という「グローバルルールワン」と呼ばれる原則があります。SAG-AFTRAにはほとんどの俳優が所属していますから、SAG-AFTRAに認められなければ、映画会社もエージェントも仕事ができない仕組みになっているのです。

『芸能人はなぜ干されるのか? 芸能界独占禁止法違反』


「バーター」「共演拒否」で芸能プロダクションに絡め取られたテレビ局。芸能界の中枢で蠢く談合組織で調印された「秘密協定」の謀略。バーニングプロダクション・ケイダッシュ・ジャニーズ事務所・吉本興業による「市場独占」の醜悪。「暴力団」による芸能界支配の裏面史。マスコミがひたすら黙殺する日本最大のタブー「芸能界」を震撼させる乾坤一擲の書

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