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【大相撲】

逸ノ城、進化見せた

2014年11月18日 紙面から

逸ノ城(右)を上手出し投げで下す白鵬=福岡国際センターで(佐々木彰尚撮影) 

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◇九州場所<9日目>

(17日・福岡国際センター)

 逸ノ城(21)=湊=が敗れたとはいえ、株を上げた。横綱白鵬(29)=宮城野=に正面から勝負を挑み、先場所に続いてまたも完敗した。だが、先場所は触ることすらできなかった左まわしをつかみ、成長ぶりを見せた。逸ノ城は5敗目、白鵬は1敗を堅持。横綱鶴竜は関脇碧山を難なく寄り切り、ただ一人9戦全勝とした。

 最強横綱の壁は相変わらず高い。それでも、逸ノ城は進化した姿を見せた。立ち合いで左上手をつかむ。だが、あっさり上手出し投げで192センチ、199キロの巨体が軽々と1回転した。初対戦で夢見がちだった秋場所と比べると、明らかに悔しさが勝った。

 「緊張はあったけれど、先場所よりは大丈夫だった。右を差しにいった時にやられた。立ち合いが高かった。(白鵬は)まわしの取り方が全然違う。早かったですね」

 8日目の栃煌山戦で注文相撲。師匠の湊親方(元幕内湊富士)から「甘くないぞ。そんなはったりするようなやつは上にはいない」と、しかられた。反省した逸ノ城はまっすぐぶつかると、賜杯をかけた秋場所14日目の1敗対決でかなわなかった左上手を取ることにも成功。成長ぶりを聞かれた白鵬に「これといって…。強いて挙げれば、左まわしに触ったことでしょうね」と言わしめた。最強横綱に変化せず、進化を認めさせた。

 壁を乗り越えてこそ強くなる。2010年、モンゴルから相撲留学で鳥取城北高に来た少年は、日本語習得に苦労した。「覚えるのは遅かった。1年かかった。モンゴル人の生徒とモンゴル語ばかりしゃべっていたから」と思い返すのは、母校のレンツェンドルジ・ガントゥクスコーチ(30)。「おっつけ」「まわし取れ」。単語をノートにひたすら書いた。日本食も納豆、梅干しがダメで「強くなるから」と言われて水で無理やり流し込んだ。強くなるためなら何でもする。それが逸ノ城の源だ。

 先場所に鶴竜から金星を挙げたが、今場所は3横綱全員に黒星を喫した。「立ち合いをもっと磨いていきたい。もっと力をつけて来場所頑張ります」。高校時代のように課題を一つ一つ克服していけば、横綱の壁も乗り越えられないことはない。 (永井響太)

 

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