ふるさと納税:青森自治体1億円突破 返礼過熱に疑問視も
毎日新聞 2014年11月18日 09時02分
出身地などの自治体に寄付すると、税額控除が受けられる「ふるさと納税」が青森県内の自治体でも好調だ。2008年度から始まった制度だが、昨年度の県内40市町村への寄付総額が初めて1億円を突破した。寄付者へのお礼に地元の特産品を贈る自治体で金額や件数が伸びる一方、「過度な特典は制度の趣旨に反する」と自治体間で過熱するサービス合戦を疑問視する声もある。
県によると、13年度の県内40市町村への寄付は、過去最多の1919件で計1億48万円。12年度に比べて件数で3倍、額で1.2倍増えた。初年度の08年度と比べると、件数で5.5倍、額で2.3倍の急伸だ。中でも、特産品など返礼品を贈るのは24市町村で増加傾向という。
むつ市では、1万5000円以上の寄付者には9種類の特産品の中から1種類、5万円以上の場合は2種類を贈る。人気は「陸奥湾産活ホタテ」や「海峡サーモン切り身セット」など新鮮な海産物。11年度から特典を付け、12年度には全国のふるさと納税特典を調べられるインターネットサイトにも掲載した。その結果、翌年度にあたる13年度のふるさと納税件数は1008件と県内全体の過半数を占め、額は1796万円。前年度に比べ件数で10倍、額で6倍に伸びた。同市企画調整課は「テレビ番組などで全国的に制度が注目され、その中で多くの人にむつ市の特産品を気に入ってもらえたのはありがたい。特典は地元のPRや経済活性化にもつながる」と強調する。
東通村は今年度から特典を導入。1万〜5万円の寄付額に応じて特産牛「東通牛」のスライスやステーキを取りそろえた。特典のない13年度は寄付がなかったが、今年度は12日現在で過去最多の71件・101万円に急上昇。村の担当者は「東通に縁のないような人の寄付も多い。特典の充実が寄付額に結びついている」と説明。それでも特典は寄付額の3割程度に抑えているという。
これまで特典を設けていなかった弘前市は、今年8月から弘前城の石垣修理に伴う寄付のコースを新設。1口1万円の寄付で返送する「城主証」や、石垣改修への出資者芳名録への記載などの特典を付けたところ、11日現在で昨年の19倍にあたる907件の申し込みがあるという。
県内自治体の特典にはこのほかに、「せんべい汁セット」(八戸市)、「馬肉くんせいセット」(五所川原市)、「完熟スペシャルブレンドジュース」(板柳町)などがある。