秋季キャンプ地の高知で森脇監督(右)を直撃した植村特別記者。名物・鰹のたたきで使用する藁を焼くポーズ、似合うてまっせ(撮影・中島信生)【拡大】
森脇 その方が多いですよ。昔より今の方が厳しい時代ではある。でも、我が子だったらどう接するかを常に考えていこうと。最終的には僕がTに「同じ所を何度も故障するのはどうなのか?」と言いました。いつもある時期にハムストリングを痛める。その繰り返しで何が出せるのか? 一生懸命やってるというが、じゃあ体重はどうなんだと。練習に耐えられるだけの鍛え方をしたのか。「体重を減らしたら打球が飛ばなくなる」と言うから「ちょっと待て。じゃあ(最近は)飛んでいるのか?」と。
今を逃したら、もう来ない。今が一番変化できるタイミングだと。人は結果がでているときは保身に走ってしまう。ここで覚悟を決めて挑む。そういうときに(あえて)ひげをはやす必要あるか? 僕はあまり茶髪禁止とかたばこ禁止とか言わないですが、Tにはするなと。素で勝負しろ、過去の固定観念はすべて捨てろ、と言いました。
植村 結果が出ていないチームは、選手が低いレベルの意識に埋もれ、いいことを言われても逃げてしまう傾向が強い。そこでしつこく言い続け、そういう方向を向かせたことがすごい。
森脇 本人が向く、こっちは向かせる。本人が気づく、こっちは気づかせる。こういうやりとり、相互関係が必要だと思うんです。