たび重なる故障を克服し、地球に帰還を果たした小惑星探査機「はやぶさ」。その健気な姿とプロジェクトチームの熱い思いを描いた映画にもなりました。2010年の帰還からおよそ4年半、今度は「はやぶさ2」が11月30日、種子島宇宙センターで打ち上げられます。気になる「はやぶさ」と「はやぶさ2」の違いを探ってみましょう。
■ミッション
「初代はやぶさ」と「はやぶさ2」は、いずれも小惑星にまで赴き、地表の砂やチリのサンプルを採取して、地球に持って帰ってくるというミッションは同じですが、目指す小惑星が違います。初代は岩石質の小惑星「イトカワ」でサンプルを採取しましたが、「はやぶさ2」は「1999 JU3」という、まだ名前の付いていない小惑星に向かいます。「1999 JU3」には、水や有機物が含まれた物質があると考えられており、この有機物を調べることで太陽系や生命の起源の解明に役立つと期待されています。
■外観
表のとおり、大きさにはほとんど違いがありませんが、見た目に大きく違うのはアンテナです。一つだったパラボラアンテナが2つの平面アンテナになっています。これは技術の進歩。平面アンテナにすることで、同じ性能でも重量が1/4になりました。平面アンテナはXバンド(8GHz)とKaバンド(32GHz)に対応。KaバンドはXバンドと比べて4倍のデータを送ることができます。通常用いられるのは、Xバンドのアンテナですが、大量に観測した小惑星のデータを送る際にはKaバンドのアンテナを使います。イオンエンジンで航行するのは初代と同じです。
■小惑星到着
2018年に小惑星「1999 JU3」に到着する予定です。まず小惑星の地図を作ります。初代が搭載していた小型ローバー「ミネルバ」の後継にあたる「ミネルバ2」をまず小惑星に投下し、地形や重力の計測を行います(初代の「ミネルバ」は、着陸に失敗して、今も宇宙空間を漂っています)。「ミネルバ2」は、ローバーと言ってもタイヤで移動せず、跳ねて移動します。このほか小型ランダー「MASCOT」も搭載しており、水や有機物を含む表層物質探査も行います。