経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *基本内容の「ニッポンの理想・2兆円でできる社会」もご覧ください

争点は一気増税路線からの離脱

2014年11月18日 | 経済
 異次元緩和もやった、5兆円の補正予算も組んだ、投資・法人減税の成長戦略も打った。だが、一気の消費増税という愚策は、どうにもならなかった。これが率直な見方だろう。二期連続のマイナス成長を前にしても、まだ目が覚めないのか。

 したがって、総選挙の争点は「一気増税路線からの離脱」になる。一気増税の惨憺たる結果を直視できず、一気増税に未練を残す勢力を、民意に問うことで、オーバーライドするのだ。裏返せば、「上げないリスク」について、国民のマンデートを得るのが目的となる。

 ここで、「2017年4月には無条件で2%上げることにする」という悪魔の囁きに耳を貸してはならない。これを許せば、何が失敗の原因で、誰に責任があるのか分からなくなる。過激な緊縮財政を押し付けた者に、過ちを思い知らせることが欠かせまい。

 「2%なら景気条項付き。削るなら2017と19年に1%ずつ」である。1%であれば、経済対策でカバーが効くし、2年毎にすると、年1兆円の社会保障費の自然増と相まって、緩やかな緊縮で済むからだ。急進的な財政再建からの決別こそ、日本の将来を決める。

………
 今回の7-9月期GDPは、予想し得る下限の数字だった。筆者は、11/13に、最弱気かつ更なる下ブレもありとする第一生命の新家さんの予想を紹介したが、これがほぼ的中した。在庫減は、2次速報で見直され、より予想に近づくこともあろう。新家さん、さすがだよ。詳しくは、今日の日経3面の説明が良く出来ているので、そちらに譲る。 

 GDPの解説は巷に溢れているので、一つだけポイントを言っておくと、7-9月期の実質成長率は、原系列の前年同期比で−1.2%になったことだ。すなわち、消費増税を潜り抜けた結果、1年前と比べて、経済は縮み、国民は貧しくなったということである。パイを小さくしてまで、財政は家計から所得を奪い取ってしまった。これが腰折れでないなら、何を言う。

 増税前の前年同期比は、2013年の1-3月期から順に、+0.1%、+1.2%、+2.3%、+2.5%と加速してきていたから、アベノミクスは成功していたと言えるだろう。ただ失敗は、緩和も補正も減税もあるからと、財政タカ派に惑わされ、一気の消費増税という逆噴射を許してしまったことにある。正しく総括するならば、総選挙での勝利は堅い。

(今日の日経)
 景気足踏み、回復うかがう、消費に足元は薄日も・GDP2期連続マイナス成長。日経平均517円安。在庫急減かく乱・民間予測の想定外。経済対策2〜3兆円。点検会合・増税賛成の声多く。7-9月消費関連企業調査・売上高45%が下振れ。

※これだけ経済が悪いと、増税先送り法は1週間で通すから、総選挙は回避し、早く補正予算を組んでくれという声が出そうなものだ。今月末の10月指標次第で、小康から暗転しかねない危うい局面なのだがね。まあ、政治のことはよく分からんよ。もっとも、点検会合の有識者でさえ、危機感のある者は少ないようだしね。
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