クロマグロ:「食べられなくなるの!」絶滅危惧種指定
毎日新聞 2014年11月17日 11時46分(最終更新 11月17日 12時24分)
◇法的拘束力ないが、日本は資源回復に本腰入れる
すしネタや刺し身に欠かせない太平洋クロマグロが絶滅危惧種に指定されたが、指定に法的拘束力はなく、取引が規制されて食べられなくなるわけではない。とはいえ、今後は太平洋クロマグロがワシントン条約で輸出入の規制対象となる恐れもあり、世界最大の消費国である日本は資源回復に向けて主導的な役割を果たしていくことが求められそうだ。
絶滅危惧種の指定により太平洋クロマグロの価格は上がる可能性もあるが、国内で流通しているのは他にも大西洋クロマグロ、ミナミマグロ、メバチ、キハダ、ビンナガがあり、マグロ全体の価格への影響は限定的とみられる。
水産庁によると、太平洋クロマグロは乱獲などが原因で減少し、2012年の親魚の量は約2.6万トンと、過去最低だった1984年の約1.9万トンの水準に近い。一方、大西洋クロマグロは漁獲を規制した結果、資源が回復傾向にある。
資源管理では、太平洋クロマグロを扱う「中西部太平洋マグロ類委員会」の小委員会が9月、重さ30キロ未満の未成魚の漁獲量を02〜04年平均から半減することで合意。2015年から適用され、日本などは資源回復のために本腰を入れる。
ワシントン条約の会合では10年に大西洋クロマグロの国際取引の全面禁止を提案されたことがある。この時は否決されたが、今後の会合で太平洋クロマグロが同様の提案をされる可能性もあり、日本は関係国と協力して資源回復を急ぐ必要がある。【田口雅士】