北海道新聞、記事撤回も「韓国世論に影響与えず」 挺身隊と慰安婦混同
産経新聞 11月18日(火)7時55分配信
慰安婦問題をめぐり、北海道新聞は17日付朝刊で、朝鮮人女性を強制連行したとする吉田清治氏の証言に関する記事を取り消したことを明らかにした。挺身(ていしん)隊と慰安婦を混同していたことも記す一方、最初の「吉田証言」報道の韓国世論への影響については「大きな影響を与えたものではないとの見方が一般的」と釈明している。
北海道新聞によると、同紙が最初に吉田証言を報じたのは平成3年11月22日の朝刊。吉田氏に直接取材した内容について「朝鮮人従軍慰安婦の強制連行『まるで奴隷狩りだった』」との見出しで掲載した。
吉田証言の検証で「内容を裏付ける証言や文書は得られなかった。日本の研究者の間でも証言は学術資料たりえないとの見方が強く、信憑(しんぴょう)性は薄いと判断した」と結論付けた。
吉田証言に関する記事とは別に、3年8月15日の朝刊で元慰安婦の韓国人女性が初めて実名で名乗り出たことを報じた際、「女子挺身隊の美名のもとに」などと挺身隊と慰安婦を混同していたことも記した。
混同の理由について「韓国では勤労のための挺身隊と慰安婦を混同していた時期があり、女性もそう語っていた」とし、「4年1月には韓国では同義語として使われてきたことを伝え、その後は混同しないようにしてきた」と説明した。
北海道新聞が吉田証言について最初に書いた3年11月22日の記事は、韓国メディアが後追いしたという。同紙も同月27日の朝刊でこの記事が韓国紙「東亜日報」に紹介されたことを取り上げている。
しかし、検証では記事の影響について「韓国の元外交官やメディア関係者、研究者らに尋ねたところ、世論に大きな影響を与えたものではないとの見方が一般的だった」とした。
確かに、朝日新聞はこの記事が出る9年前の昭和57年9月から吉田氏の記事を掲載している。北海道新聞が吉田証言を報道する以前から、韓国のメディアや反日団体が日本統治時代の先の大戦当時の慰安婦の存在を反日に利用しようとする動きもあった。
北海道新聞の報道も、日韓両国で慰安婦問題が外交問題として広がる流れの中でのものだったが、韓国での問題拡散の素地はそれ以前から育っていた。
北海道新聞は今回、吉田証言に関する記事8本を掲載していたことを明らかにしたが、ほかの地方紙などでも掲載している。
沖縄タイムスは9月13日付社説で、共同通信の配信を受けて3年12月6日に掲載しているとした上で「(朝日新聞の)記事の取り消しや謝罪が新聞への信頼を著しく低下させたことを私たちも戒めとして深く胸に刻みたい」と記した。
朝日新聞に続き、記事を取り消したのは、共産党の機関紙「しんぶん赤旗」。同紙は4〜5年、3回にわたり、吉田氏の証言や著書を取り上げたといい、9月27日付の紙面で「『吉田証言』は信憑性がなく、記事を取り消します」とのおわび記事を掲載した。
最終更新:11月18日(火)8時29分
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