クロマグロ、「中国は獲り放題」という理不尽

"絶滅危惧種"の資源量回復へ必要なこと

国際自然保護連合は、クロマグロを「絶滅危惧種Ⅱ類」に分類した(写真:ハレ / Imasia)

11月17日、国際自然保護連合(IUCN)がレッドリストを公表し、太平洋クロマグロを「絶滅危惧Ⅱ類(VU)」に評価した。これはいったい、何を意味するのか。

IUCNが「絶滅危惧」として指定するのは、絶滅危惧ⅠA類(CR)、絶滅危惧ⅠB類(EN)、絶滅危惧Ⅱ類(VU)の3種類。このうちCRは「野生での絶滅の危険性が極めて高いもの」で、ENは「ⅠA類ほどではないが野生での絶滅の危険性が高いもの」。今回、太平洋クロマグロが指定された絶滅危惧Ⅱ類(VU)は「絶滅の危険性が増大している種」と定義されている。

これは3分類の中ではもっとも軽度のもので、指定によって漁業に影響を与えるものではない。だがこれまで太平洋クロマグロは「低懸念(LC)」に分類されていた。それが、いきなり絶滅危惧にエントリーされた意味は大きい。

ワシントン条約で指定されるおそれ

今後の懸念点は、ワシントン条約(絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)による指定だ。ワシントン条約は、IUCNのレッドリストを指定の際の参考にしており、2016年に南アフリカで開かれる第17回締結国会議で議案にのらないとも限らない。ワシントン条約で絶滅危惧種に指定されると、漁獲禁止を含む、厳しい管理下に置かれることになる。

IUCNは指定の理由として、「アジアで鮨や刺身として需要が高まっており、漁獲される多くは未成魚で、過去22年間に19~33%減少した」と述べている。日本は世界一のクロマグロの消費国だ。ターゲットにされた感が否めない。

これに限らず、日本の太平洋でのマグロ漁業の環境は年々厳しさを増している。

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