16日の沖縄県知事選で、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対する無所属新人の前那覇市長翁長雄志(おなが・たけし)氏(64)が、移設手続きを進めて3選を目指した無所属現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)氏(75=自民、次世代推薦)ら3人を破り初当選した。政府は日米合意に基づき辺野古移設を進める方針だが、反対派知事の誕生で移設関連手続きが遅れる可能性がある。さらに、この結果は日米中3か国にも波及する。
安倍政権にとって、7月の滋賀県知事選に続く敗北となった。沖縄県知事選と同日に行われた那覇市長選でも、自民・公明両党推薦の新人候補が敗れた。安倍晋三首相(60)は12月に衆院選を実施する意向。知事選敗北による打撃を最小限に抑えたい考えだ。
翁長氏は16日夜、那覇市で記者団に対し、辺野古移設に反対する公約を「ぶれずに実行する」と明言した。仲井真氏は記者団に「想定外の結果だ」と強調。普天間飛行場の危険性除去が最優先とした自身の公約について「きちんと伝わらなかった」と述べた。
翁長氏は自民党沖縄県連幹事長を務めたこともあり、知事選は保守分裂の戦いとなった。翁長氏は「辺野古に新しい基地を造らせない」と訴え、自民党を除名された那覇市議や共産、社民両党が支援した。
この沖縄県知事選に対して中国は、日米関係に影響を及ぼすと見て行方を注視。国営の中央テレビが選挙の特集番組を流すなど、高い関心を示した。中国国営の新華社は同日、日本メディアを引用し「沖縄県知事選で米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に反対する前那覇市長翁長雄志氏が勝利した」と速報。翁長氏当選が、普天間移設に関する「日米合意に影を落とすとみられる」と指摘している。
永田町関係者は「移設反対を徹底すれば、辺野古での建設は延期される。そうすれば、日米関係の悪化は避けられない」と指摘。そこで中国が図に乗った行動を取ってきたようだ。沖縄県・尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域でこの日、中国海警局の船3隻が航行しているのを海上保安庁の巡視船が確認。尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは3日連続だ。
「選挙前から辺野古移設反対派の翁長氏の圧勝と言われていました。その翁長氏は親中派で習氏とも親交があります」(同)。沖縄で16年間続いた自公体制が崩壊し、親中派の県政となった。そして、このタイミングで中国の船が執拗に尖閣周辺に来たのは意味深だ。
中国事情通は「中国では『尖閣諸島も沖縄も中国の領土だ』というのが定説になっています。中国は盛んに『日本は軍事力によって琉球を奪った』と主張し、『だったら中国だって、軍事力で尖閣諸島や沖縄を奪ってもいい』という理屈に持っていこうとしている。だから、きっかけを作るために中国は尖閣でモメたいのでしょう」と指摘。
ところで、オバマ米大統領は15日、オーストラリアでの演説で、中国を念頭に「アジアの安全は、大国が小国をいじめるような威圧や脅しではなく、国際法や国際規範にのっとり確保されなければならない」と表明。これに対し、中国外務省の秦剛報道局長は16日までに、「留意している」とする談話を発表した。
中国事情通は「オバマは親中派のうえ、中国は『戦争できない大統領だから、いくら挑発してもいい』と判断している。中国はオバマに何を言われても、聞き流すだけでしょう。ただ、米中間選挙で対中国強硬派の共和党が圧勝したので、そこは中国としても慎重にならざるを得ない。しかし、翁長氏が知事になったので、ぎりぎりまで尖閣で日本を挑発してくるのは間違いない」と言う。
沖縄県知事選は日本国内の問題だけでなく、日米中の微妙なバランスを揺るがすことになりそうだ。
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