京都四条通:烏丸通−川端通 楽に歩けるよう…車線半減

毎日新聞 2014年11月17日 22時09分(最終更新 11月18日 00時17分)

平日も人通りの多い京都市の四条通(四条高倉付近)=野宮珠里撮影
平日も人通りの多い京都市の四条通(四条高倉付近)=野宮珠里撮影
工事実施区間
工事実施区間

 京都市中心部を走る四条通(幅22メートル)の烏丸通−川端通間(約1.1キロ)の車道を片側2車線から1車線に減らし、両側の歩道を広げる工事が17日、始まった。一帯は京都を代表する繁華街だが、観光客による混雑が常態化。従来の自動車優先の道路整備を見直し、歩行者と公共交通の利便性を重視しながら、通りの魅力を高める方向に転換した。大都市のメインストリートで車線を減らす取り組みは全国初という。

 工事は来年秋ごろ完成を目指し、事業費は約29億円。計画では、アーケードのある歩道の幅を現行の3.5メートルから6.5メートルに広げる。現在16カ所あるバス停は4カ所に集約し、車道側に一部張り出すテラス型にして乗降しやすくする。タクシー乗り場は大手百貨店前の2カ所とし、物品輸送のトラックなどの一時停車スペースは計15カ所(32台分)設ける。

 同市によると、四条通の歩行者数は休日には1日約4万人。近年の外国人観光客の増加もあり、歩道は激しく混雑する。同市は歩行者優先の交通環境への移行を志向し、2007年に歩道幅を倍に広げる実験を実施すると、歩行者が約25%増加してもゆったり歩ける効果があった。

 一方、車線減少による渋滞の懸念があるが、現行でも休日の通行量は「1車線でも十分に処理できる」約1万2000台と推計。違法駐車などが多く歩道側の車線がふさがっている現状があり、周辺の道路への影響は軽微とみている。車線減で、この区間の通行所要時間は1割程度増える見込みという。

 着工に当たって門川大作市長は17日、四条河原町の京都高島屋前で「京都は歩いてこそ魅力を感じる町。京都の活性化につながる」と意義を強調した。主に夜間に工事し、来年7月の祇園祭の期間は一時中断する。

 四条通周辺は近年、老舗が閉店し、コンビニエンスストアやチェーン店が増えるなど京都らしさが失われていると指摘され、一帯の売り上げは減少傾向という。市の「歩いて楽しいまちなか戦略」推進会議会長の塚口博司・立命館大教授は「現在の四条通は、見た目はにぎわっているようでも、それほど元気ではない。都心である四条通の地盤沈下は京都の魅力を減らすリスクがある」と分析し、歩道拡幅の効果に期待する。【野宮珠里】

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 大都市のメインストリートを歩行者・公共交通優先に転換させる具体的な動きは京都市が初めてだが、他の都市でも計画が進んでいる。

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