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社説
11月17日付  沖縄知事に翁長氏  辺野古反対の民意は重い  
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 沖縄県民の意思は「ノー」である。

 米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設の是非が最大の争点となった沖縄県知事選が投開票され、移設に反対する翁長雄志前那覇市長が初当選した。

 翁長氏は、普天間の県外移設を主張し「あらゆる手段を駆使して辺野古に新基地を造らせない」と繰り返し訴えてきた。3選を目指し、移設を推進した現職仲井真弘多氏を退けての勝利である。

 1月には、同じく移設計画が問われた辺野古の地元・名護市長選で、反対を掲げた現職が再選している。

 安倍政権は、知事選の結果にかかわらず移設作業を粛々と進める方針を示しているが、突き付けられた県民の意思を無視することは許されない。選挙の結果を厳しく受け止めるべきだ。

 翁長氏は、もともとは自民党県連幹事長も務めた「保守中の保守」の人である。2010年の前回知事選では仲井真氏の選対本部長に就き、共に県外移設を主張。激しく競り合っていた革新系の新人候補を破った。

 それが今回、政府・自民党の全面支援を受けた現職とたもとを分かち、対決することになったのは、仲井真氏が昨年末に辺野古沿岸部の埋め立てを承認したからだ。

 翁長氏は移設反対で一致した共産、生活、社民、沖縄社会大衆の各党と共闘態勢を組み、革新票をまとめたのに加えて、保守票を取り込んだ。

 最大の勝因は、移設を推し進める政府と仲井真氏の姿勢に対する県民の怒りが、強い後押しになったことである。

 政府は8月、反対派の抗議活動を排除して、埋め立てに備えた海底ボーリング調査を開始した。知事選を前に、少しでも工事を進めて既成事実にしようとの狙いがあったようだが、あまりに強引な手法である。

 これに対し、共同通信社が選挙中に行った県内世論調査では、7割超が政府の姿勢を「支持しない」と回答。6割超が知事選の最大の争点を移設問題とし、「反対」「どちらかといえば反対」が6割を超えていた。

 一方で、政府の地域振興や経済活性化策に「期待する」人は「どちらかといえば」を含めて4割しかなく、「期待しない」「どちらかといえば期待しない」が6割弱にも上った。

 21年度まで毎年度3千億円台の沖縄振興予算を確保すると、政府が約束したのは、仲井真氏が埋め立てを承認する直前だった。カネと引き換えに基地を造るようなやり方に、県民が不快感を抱いたのは当然といえよう。

 仲井真氏は辺野古移設が「現実的で具体的な解決方法だ」と訴えたが、受け入れられなかった。「地元の理解が得られない移設を実現することは事実上、不可能だ」と翁長氏が主張したように、辺野古はもはや「現実的」な選択肢といえなくなったのではないか。

 ただ、住宅密集地に囲まれ、世界で最も危険とされる普天間飛行場を固定化していいはずがない。

 沖縄県には在日米軍専用施設の約74%が集中している。過重な基地負担の軽減は、保革の枠を超えた県民の願いである。政府は、その声にしっかりと耳を傾けなければならない。

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