文芸アイドル・西田藍が読み解く『まーどぅー本』ハロプロ特有の箱庭感がもたらす幸福とは?
2014年11月17日 22時00分
今、1冊のインタビュー集が注目されている。『まーちゃんくどぅーのハロプロ先輩探訪団』と名づけられたこの単行本は、モーニング娘。'14の佐藤優樹さんと工藤遥さんがハロー!プロジェクト(以下、ハロプロと略)の先輩たちにインタビューを敢行していく内容。ファンの間で大きな評判を呼び、タレント本としては異例のロングセラーを記録しているのだ。
2人がここまで面白かったとは
同書は、アイドル誌『Top Yell』での連載がベースになっている。すでにハロプロを卒業した真野恵里菜さんに加え、来春での無期限活動停止が決定しているBerryz工房の7人、℃-uteの5人、それにスマイレージの初期メンバー・2名が登場。書籍化にあたっては、振付師のYOSHIKO先生、2人がグループに加入した当時のリーダーだった新垣里沙さん、11月26日にグループを去る道重さゆみさんの3編が新録された。
今回、この『まーどぅー本』を読み解くのは、朝日新聞に書評が掲載されるなど“文芸アイドル”として名高い西田藍さんだ。タレント本自体、これまで読む機会がほとんどなかったというが、「率直に言って、すごく面白かった」と語る。
「私の場合、道重さんが大好きという感情が基本にあるんです。他のハロプロのメンバーに関しては、名前と顔こそわかるものの、細かいパーソナルな部分はそこまで詳しく知らなかった。読んでみて最初の衝撃は、〝2人がここまで面白かったとは!〟という点ですよね。それと、過去の出来事も含めて普通にハロプロの勉強になりました」
インタビュー集とはいうものの、ホスト役の佐藤さんと工藤さんが主役の本といえるかもしれない。佐藤さんは支離滅裂な質問を連発し、先輩たちを困惑させることもしばしば。また、それに対する工藤さんの容赦のないツッコミもすさまじい。破綻ギリギリの空気感は、この2人にしか出せない種類の面白さだ。同時に西田さんが感じたのは、ハロプロという組織の〝桜の園〟感。世間一般とのギャップが印象的だったという。ハロプロには、独自の磁場が働いているというのである。 「道重さんが、バラエティ番組などハロプロ外部の仕事をこなすことで初めて〝自分たちは世間一般には知られていない存在なんだ〟と気づいたエピソードは有名ですよね。その感覚は、いまだに変わってないと思うんです。私は真野ちゃんも大好きなんですけど、正直言ってハロプロ時代の真野ちゃんは、世間から見るとそこまで知名度がある女優でもなかった。でも、桜の園の中では違うんです。すごく活躍している、キラキラ輝く憧れの先輩。その宝塚みたいな閉ざされた感覚が、キュンとくるんですよね」
その〝桜の園〟感が一番色濃く反映されるのは、工藤さんが同書の中で「自分はハロプロエッグの出身である」と何度も声高に主張するところだ。工藤さんがデビューした頃、すでにAKB48やももいろクローバーZは台頭していた。ハロプロが女性アイドル界で寡占状態にあった時代ならいざ知らず、ハロプロの研修生組織に在籍していた過去をなぜそこまで誇りに思うのか? しかも、すでに自分がモーニング娘。のメンバーになっているにもかかわらず。このへんが世間一般の感覚からすると、ハロプロの特殊性に映るはずだと西田さんは解説する。 「前後の文脈を知らずにハロプロという特殊な世界を見ると、最初はびっくりすると思うんですよ。そのへんは本当に宝塚と似ている。宝塚もハロプロ同様、楽しむ上である程度のリテラシーが求められますから。AKB48が出てきた頃は、あざとい衣装が衝撃を与えましたよね。下着や水着で歌ったりして。ところが、それすらも露出を重ねるうちにお茶の間に溶け込んでしまい、いまや日常の風景と化した。AKB48と比べると、ハロプロはまだまだ世間に溶け込んでいない部分があるんです」
ハロプロの一員であることを確固たるアイデンティティーとする工藤さんとは対照的に、佐藤さんは先輩たちの名前を覚えることすら四苦八苦していた。これについて、自身も人の名前を覚えるのが苦手な西田さんは大いに共感したという。
「℃-uteの(萩原)舞ちゃんが、〝好きで入ったんだから、名前を知っているのなんて当たり前〟って感じのことを言うんですよ。だけど、まーちゃん(佐藤優樹)は日本の芸能界とかを知らないで育った子ですからね。〝そうだよね。好きかもだけど、わからなくなっちゃうよね。人数もいっぱいいるしね〟って気持ちに私はなっちゃうんです。まーちゃんに対しては、もう親とか保母さんみたいな目線(笑)。でも、その点はくどぅー(工藤遥)よりもまーちゃんのほうが世間一般の感覚に近いのかもしれませんよ」
西田さんによると、2人は仕事をこなす芸能人としての立ち位置と、リアルな中学生としてのバランス感覚が抜群なのだという。おそらく、これは狙ってできるものではないだろう。
「突き詰めて考えると、アイドルを楽しむという行為は、〝大人たちによって作られた子供の世界〟を楽しむということになるかと思います。100%子供のままの姿だったら、それは芸能や興行として機能しないはずですし。だけど一方で、多少は素の部分が見えないとファンは満足しないんですよ。大人によって完璧にコントロールされているパッケージだけでは、納得できないというか……。もちろん、そのへんは事務所サイドもわかっているはずだし、だからこそ、ある程度は自由度を与えていると思うんですよね」
中学1年生の頃から、地元でモデルとして活躍していた西田さん。「モデルとタレントでは全然違う部分がある」と前置きしながらも、「それでも当時は中1なりに、そつなく仕事をこなそうと必死だった」と述懐する。大人に混じって仕事をこなす以上、悪目立ちしないように最大限の注意を払っていたというわけだ。そんな西田さんからすると、常に自分の色を出し続ける佐藤さんに対しては、共感を通り越して憧れの感情すら覚えるという。
「たいした胆力だと思いますよ、まーちゃんは。ここまでマイペースなのは、よほど根性が座っていないと無理。ちょっと真似できないレベルです。普通はどんなに個性豊かなキャラクターを持っていても、注意されたりしているうちにオドオドしたりとか萎縮するものですからね。ただ、まーちゃんの自分を強く打ち出すという部分は、表現者としては圧倒的に正しい。また、こういう子をグループの一員として加えたスタッフも本当にすごいと思いますね。よその事務所だったら、アウトかもしれない。で、そんなまーちゃんが、あとがきでくどぅーに言うんですよ。“自分を抑えているように見えるけど、我慢しないでいいんだよ”って。私、あそこが好き。最大の萌えポイントですね(笑)」
同書は、アイドル誌『Top Yell』での連載がベースになっている。すでにハロプロを卒業した真野恵里菜さんに加え、来春での無期限活動停止が決定しているBerryz工房の7人、℃-uteの5人、それにスマイレージの初期メンバー・2名が登場。書籍化にあたっては、振付師のYOSHIKO先生、2人がグループに加入した当時のリーダーだった新垣里沙さん、11月26日にグループを去る道重さゆみさんの3編が新録された。
今回、この『まーどぅー本』を読み解くのは、朝日新聞に書評が掲載されるなど“文芸アイドル”として名高い西田藍さんだ。タレント本自体、これまで読む機会がほとんどなかったというが、「率直に言って、すごく面白かった」と語る。
「私の場合、道重さんが大好きという感情が基本にあるんです。他のハロプロのメンバーに関しては、名前と顔こそわかるものの、細かいパーソナルな部分はそこまで詳しく知らなかった。読んでみて最初の衝撃は、〝2人がここまで面白かったとは!〟という点ですよね。それと、過去の出来事も含めて普通にハロプロの勉強になりました」
インタビュー集とはいうものの、ホスト役の佐藤さんと工藤さんが主役の本といえるかもしれない。佐藤さんは支離滅裂な質問を連発し、先輩たちを困惑させることもしばしば。また、それに対する工藤さんの容赦のないツッコミもすさまじい。破綻ギリギリの空気感は、この2人にしか出せない種類の面白さだ。同時に西田さんが感じたのは、ハロプロという組織の〝桜の園〟感。世間一般とのギャップが印象的だったという。ハロプロには、独自の磁場が働いているというのである。 「道重さんが、バラエティ番組などハロプロ外部の仕事をこなすことで初めて〝自分たちは世間一般には知られていない存在なんだ〟と気づいたエピソードは有名ですよね。その感覚は、いまだに変わってないと思うんです。私は真野ちゃんも大好きなんですけど、正直言ってハロプロ時代の真野ちゃんは、世間から見るとそこまで知名度がある女優でもなかった。でも、桜の園の中では違うんです。すごく活躍している、キラキラ輝く憧れの先輩。その宝塚みたいな閉ざされた感覚が、キュンとくるんですよね」
その〝桜の園〟感が一番色濃く反映されるのは、工藤さんが同書の中で「自分はハロプロエッグの出身である」と何度も声高に主張するところだ。工藤さんがデビューした頃、すでにAKB48やももいろクローバーZは台頭していた。ハロプロが女性アイドル界で寡占状態にあった時代ならいざ知らず、ハロプロの研修生組織に在籍していた過去をなぜそこまで誇りに思うのか? しかも、すでに自分がモーニング娘。のメンバーになっているにもかかわらず。このへんが世間一般の感覚からすると、ハロプロの特殊性に映るはずだと西田さんは解説する。 「前後の文脈を知らずにハロプロという特殊な世界を見ると、最初はびっくりすると思うんですよ。そのへんは本当に宝塚と似ている。宝塚もハロプロ同様、楽しむ上である程度のリテラシーが求められますから。AKB48が出てきた頃は、あざとい衣装が衝撃を与えましたよね。下着や水着で歌ったりして。ところが、それすらも露出を重ねるうちにお茶の間に溶け込んでしまい、いまや日常の風景と化した。AKB48と比べると、ハロプロはまだまだ世間に溶け込んでいない部分があるんです」
ハロプロの一員であることを確固たるアイデンティティーとする工藤さんとは対照的に、佐藤さんは先輩たちの名前を覚えることすら四苦八苦していた。これについて、自身も人の名前を覚えるのが苦手な西田さんは大いに共感したという。
「℃-uteの(萩原)舞ちゃんが、〝好きで入ったんだから、名前を知っているのなんて当たり前〟って感じのことを言うんですよ。だけど、まーちゃん(佐藤優樹)は日本の芸能界とかを知らないで育った子ですからね。〝そうだよね。好きかもだけど、わからなくなっちゃうよね。人数もいっぱいいるしね〟って気持ちに私はなっちゃうんです。まーちゃんに対しては、もう親とか保母さんみたいな目線(笑)。でも、その点はくどぅー(工藤遥)よりもまーちゃんのほうが世間一般の感覚に近いのかもしれませんよ」
西田さんによると、2人は仕事をこなす芸能人としての立ち位置と、リアルな中学生としてのバランス感覚が抜群なのだという。おそらく、これは狙ってできるものではないだろう。
「突き詰めて考えると、アイドルを楽しむという行為は、〝大人たちによって作られた子供の世界〟を楽しむということになるかと思います。100%子供のままの姿だったら、それは芸能や興行として機能しないはずですし。だけど一方で、多少は素の部分が見えないとファンは満足しないんですよ。大人によって完璧にコントロールされているパッケージだけでは、納得できないというか……。もちろん、そのへんは事務所サイドもわかっているはずだし、だからこそ、ある程度は自由度を与えていると思うんですよね」
中学1年生の頃から、地元でモデルとして活躍していた西田さん。「モデルとタレントでは全然違う部分がある」と前置きしながらも、「それでも当時は中1なりに、そつなく仕事をこなそうと必死だった」と述懐する。大人に混じって仕事をこなす以上、悪目立ちしないように最大限の注意を払っていたというわけだ。そんな西田さんからすると、常に自分の色を出し続ける佐藤さんに対しては、共感を通り越して憧れの感情すら覚えるという。
「たいした胆力だと思いますよ、まーちゃんは。ここまでマイペースなのは、よほど根性が座っていないと無理。ちょっと真似できないレベルです。普通はどんなに個性豊かなキャラクターを持っていても、注意されたりしているうちにオドオドしたりとか萎縮するものですからね。ただ、まーちゃんの自分を強く打ち出すという部分は、表現者としては圧倒的に正しい。また、こういう子をグループの一員として加えたスタッフも本当にすごいと思いますね。よその事務所だったら、アウトかもしれない。で、そんなまーちゃんが、あとがきでくどぅーに言うんですよ。“自分を抑えているように見えるけど、我慢しないでいいんだよ”って。私、あそこが好き。最大の萌えポイントですね(笑)」
タグ: モーニング娘。’14
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