社説
沖縄県知事選 辺野古案拒む固い民意
(11/17)
沖縄県の米軍普天間飛行場移設問題で明確な民意が示された。
きのう投開票された沖縄県知事選で、名護市辺野古への移設に反対の翁長雄志(おながたけし)前那覇市長が、推進派現職の仲井真弘多(なかいまひろかず)氏を破った。
移設を強引に進めてきた政府に対する強い拒絶反応である。安倍晋三首相はじめ政府・与党は重く受け止めなければならない。
辺野古での移設作業をこれ以上進めてはならない。地元の反対意見を無視する姿勢を改め、対話の道を模索することが不可欠だ。
県民の多数は県外、国外への移設を求めている。その民意に沿った具体策を講じる必要がある。
仲井真氏は前回知事選で県外移設を訴えながら、昨年末に辺野古沿岸部の埋め立てを承認した。知事選では変節への怒りがそのまま表れたと言える。
さらに政府の強引な態度が反発を増幅させた。
1月の名護市長選で反対派の現職が当選したにもかかわらず、移設作業を進めた。知事選まで待つよう求める意見も退け、8月には海底ボーリング調査を強行した。
当選した翁長氏は「辺野古への移設案実現は不可能だ」として、仲井真氏が行った埋め立て承認を取り消す可能性も示唆している。
政府が独断でこれ以上前に進むことができる状況ではない。これまでの態度を改め、県民の意思を潔く受け入れるべきだ。
海底ボーリング調査は即時中止すべきだ。来年には埋め立て本体工事を目指してきたが、県の理解が得られない限り難しいだろう。
一方で政府は、普天間飛行場の運用停止を2019年までに実現する方針を表明している。米国は同意していないが、責任を持って説得し、実行してもらいたい。
政府は米国に言うべきことを言わず、沖縄にばかり負担を押しつけてきた。新型輸送機オスプレイの配備も同じだ。一方で経済政策を厚くして理解を得ようとするアメとムチの発想で臨んできた。
知事選の結果はこうした政策遂行の手法の見直しを迫っている。
与党は一枚岩とならなかった。自民党は仲井真氏を推薦したが、一部の地元議員らが元県連幹事長の翁長氏の支援に回り保守勢力が分裂した。公明党も地元の意向を尊重して自主投票となった。
辺野古移設への反対は党派を超えた沖縄の大多数の意見だと理解すべきだろう。
選挙で示された民意を否定しては民主主義が根本から問われる。国には謙虚な対応が求められる。
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