GDPショック:「予想外」に株価急落…2期連続マイナス

毎日新聞 2014年11月17日 22時24分(最終更新 11月18日 00時35分)

 内閣府が17日発表した7〜9月期の実質国内総生産(GDP)の速報値は前期比で年率1.6%減と、2四半期連続のマイナス成長に沈んだ。市場では予想外の結果に衝撃が走り、日経平均株価が急落、円相場は乱高下した。日本経済は景気後退局面に入った可能性があり、アベノミクスの効果そのものを疑う見方も出ている。

 「えっ、マイナス?」。17日午前8時50分、東京都内の大手証券会社のディーリングルーム。GDP速報値が発表されると、あちこちから驚きの声が上がった。直前の市場予測は約2.5%増で、マイナス成長を予想した主要民間調査機関はなかったためだ。「日本経済は7〜9月期に回復する」との期待はあっさり裏切られ、東京株式市場は売り注文一色となった。日経平均の終値は前週末比500円超下落し、1万7000円を割り込んだ。まさに「GDPショック安」(証券アナリスト)の様相だった。

 政府内にも衝撃が広がった。財務省幹部は「こんな数字は想定できなかった」とうなだれた。甘利明経済再生担当相は「アベノミクスは失敗していない」と強調したが、実質GDPの約6割を占める個人消費は前期比0.4%増にとどまり、設備投資は0.2%減。景気の減速は明白だ。

 アベノミクスの「応援団」の経済界も、景気回復の遅さにいら立ち始めている。「三本の矢」のうち、金融緩和と財政出動は実行されたが、3本目の成長戦略は一向に進まない。全国銀行協会の平野信行会長は17日、「第一の矢、第二の矢は有効に働いた。成長戦略を前に進めることが大事だ」と強調した。

 市場では「物価だけが上がっても経済は良くならない」(アナリスト)とアベノミクスへの不信感が高まりつつある。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「景気のけん引役が不在で、アベノミクスは行き詰まっている」と指摘した。【朝日弘行、鈴木一也、三沢耕平】

国内総生産(GDP)成長率の推移
国内総生産(GDP)成長率の推移

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