学校法人「幸福の科学学園」が来春、大学開学をめざしていたが、文部科学省は「不認可」の判断を示した。なぜだめだったのか。

 千葉県長生村。九十九里浜沿いにある「幸福の科学大」のキャンパス予定地では、校舎や体育館などが8割方完成していた。学園によると、計画では「人間幸福」「経営成功」「未来産業」の3学部を設置し、定員は1学年計260人。

 必修科目の一つが「創立者の精神を学ぶ」。国内外で信者1200万人を抱える宗教法人「幸福の科学」の総裁で学園創立者の大川隆法氏の著書の一部を参考書籍に使うとしている。その著書には「あの世の霊存在の言葉を語り下ろした」(幸福の科学)という「霊言」についての記述がある。生きている人の言葉を指す「守護霊霊言」を含め、霊言集は数百事例が出版されている。栃木、滋賀両県には同学園の中高一貫校があり、教員によっては「宗教」の授業で霊言を紹介することがあるという。

 だが、文科省の大学設置・学校法人審議会はこの大川氏の著書を問題視。10月、「科学的合理性を立証できていない霊言(霊言集)を教育の根底に据え、大学の目的を達成できるとは認められない」として開設「不可」を答申した。

 これに反発した幸福の科学側は審議会の判断が出た直後の10月末、審議の経過を批判する霊言集を出版。今月7日には、文科省に異議を申し立て、認可するよう求めた。「学問の自由、信教の自由を侵害するものだ。科学的根拠が学問の前提というなら、キリスト教系大学などは成立しない。そもそも申請した教育課程は霊言を根底にしているわけではない」と主張する。