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柏崎刈羽原発 事故想定の訓練
11月11日 12時14分

柏崎刈羽原発 事故想定の訓練
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原子力発電所での事故を想定した訓練が、新潟県にある柏崎刈羽原発の周辺の住民などが参加して行われました。
訓練は、事故の詳しい状況を参加者に知らせない方式で行われ、対応を巡って、新潟県と国などとの意見が分かれる場面が相次ぎました。

新潟県で行われた訓練には、国や県、それに原発から30キロ圏内の市町村や住民など合わせておよそ1500人が参加しました。
訓練は、午前8時半に、震度6強を観測する地震によって、最終的に柏崎刈羽原発ですべての電源が失われる重大な事故が起き、夕方には、放射性物質放出のおそれがあるという想定で、事故の詳しい状況などは参加者に知らせない方式で行われました。
原発では、緊急時対策本部が設置され、東京電力の社員が、原子炉を冷却する非常用の発電機が正常に動いているかや新たな異常が発生していないかなど状況の把握に追われました。
県庁の災害対策本部では、原発から5キロから30キロ圏内の住民の避難を巡り、国の担当者が、原発事故の際の指針に基づいて「屋内退避」としたのに対して、泉田知事が「放射線量が低いうちに避難したほうがいい」と対応を変えるよう求めました。
さらに、原発事故の際に、甲状腺の被ばくを防ぐヨウ素剤の配布方法を巡っても、国が、実際に測定した放射線量の値が高くなった地域を優先して配るべきだと主張したのに対して、泉田知事は、大勢の住民が国の指示に従って屋内退避を続けているなか、どのようにしてヨウ素剤を届けるのかと疑問を呈しました。
ヨウ素剤の配布方法を巡っては、県と国の間で意見が分かれたまま結論が出ず、避難の在り方と共に、今後、課題として対応を検討することになりました。

住民から不満の声

新潟県柏崎市では、原発から5キロ圏内に住んでいる住民の避難訓練が行われましたが、自治体が提示したスケジュールでの訓練の進行に、住民からは、「事故が起きた際の現実とかけ離れている」などと不満の声が聞かれました。
柏崎市では、原発から5キロ圏内の地区を対象に避難訓練が行われ、このうち高浜地区の椎谷自主防災会では、47人が参加しました。
午前8時半に、防災行政無線で地震が発生したことが伝わると、防災会のメンバーが手分けして住民の家を1軒ずつ訪問し無事を確認していました。
地区の住民は130人ほどで、このうち半数以上が65歳以上と、高齢者の避難をどう支えていくかが課題となっていますが、今回の訓練では、市側から提出された訓練のスケジュールに合わせて住民を避難させるよう求められていました。
このため防災会のメンバーは、避難指示が発令される前に、手順を確認したり県や市によってあらかじめ手配された避難用の11台のレンタカーを道路脇に止めたりしていました。
避難開始の時間も事前に伝えられていて、地区に住む石積末子さん(89)は、午前10時すぎに防災行政無線などで避難指示の発令が伝えられると、用意していた荷物を持って家を出ました。
そして伝えられていたレンタカーを探し出すと、同じ地区の人に運転をしてもらい、避難指示の発令からおよそ35分後には、20キロ余り離れた長岡市の道の駅に到着していました。
訓練後、石積さんは、「きょうの訓練は指導していただいたのでよかったですが、事故はいつ起きるか分からないし、若い人が働いている時間で自分1人だけだった場合はどうしようかと思いました」と話していました。
椎谷自主防災会の佐藤正幸会長は、「ベルトコンベヤーに乗せられたようで、訓練についていくのに精一杯と感じた。事故が起き、いきなり避難ということになれば、避難準備には最低2時間ほどはかかる。住民と行政で相談しながら、現実に即した訓練をする必要がある」などと話していました。

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