衆院憲法審査会 初の地方公聴会11月17日 16時19分
衆議院憲法審査会は憲法改正を巡る国民の意見を幅広く聞くため、初めての地方公聴会を盛岡市で開き、憲法改正に向けた審査を急ぐべきだという意見が出る一方、拙速に進めるべきではないという慎重な意見も出されました。
衆議院憲法審査会が盛岡市で初めて開いた公聴会では「これからの憲法審査会に望むこと」をテーマに、大学教授や弁護士ら5人が意見を陳述しました。
このうち東北大学大学院教授の糠塚康江氏は先の国会で成立した改正国民投票法に関連して、「国民投票の投票率が極めて低い場合、ごく少数の賛成で憲法改正が実現し、正当性に疑義が生じる。
国民投票の成立に一定の投票率を満たすことを条件とする『最低投票率』制度を設けるべきではないか」と述べました。
岩手弁護士会所属の弁護士、小笠原基也氏は「被災地で暮らしている多くの人たちは、いまだに仕事もなく家を建てる場所もない。
なぜ国民の生活が尊重される世の中ができないのかをきちんと見たうえで、憲法改正の必要があるかどうか、地に足の着いた審議をしてほしい」と述べました。
宮城県議会議員の相沢光哉氏は「衆参両院に憲法審査会が設置されてすでに7年が経過しており、機は熟し切っている。
いまの憲法はGHQ=連合国軍総司令部の占領下に制定されたもので、独立国にふさわしい自主憲法の制定に向けて憲法審査を急ぐべきだ」と述べました。
岩手県生活協同組合連合会会長理事の加藤善正氏は「憲法改正は主権者である国民から声が上がって初めて国会で議論を始めるのが立憲主義の建て前だ。
政治不信が広がっているなか、憲法改正を主張する国民の声は少数であり、あまり拙速に進めるべきではない」と述べました。
日本大学名誉教授の小林宏晨氏は、集団的自衛権の行使容認に関連して、「集団的自衛権は主権国家の固有の権利だ。
安倍内閣による閣議決定で行使が容認されたことは方向付けとして非常によく、この方向付けを継続して、積極的に平和に関与してほしい」と述べました。