沖縄県知事選:翁長氏当選「一安心」「論争なし」反応複雑
毎日新聞 2014年11月17日 13時02分(最終更新 11月17日 13時28分)
米軍普天間飛行場の名護市辺野古への県内移設に反対する前那覇市長、翁長雄志(おなが・たけし)さん(64)が現職の仲井真弘多(なかいま・ひろかず)さん(75)に大差をつけて当選した沖縄県知事選の結果に、沖縄の有権者は大きな期待を寄せた。一方で冷めた声も漏れ、県民感情の複雑さもうかがわせた。【野呂賢治、黒澤敬太郎】
那覇市の平和通り商店街で楽器店を営む新垣信男さん(69)は「辺野古に基地ができたら海が汚れ、観光客が減って沖縄は大きな打撃を受ける。移設反対派が勝利して一安心だが、これからも県民の意思を伝え続けていかないと政府はすぐに忘れる」と話した。
那覇市のビジネスホテル前で客待ちしていたタクシー運転手の男性(61)は翁長さん当選に「当然の結果。仲井真さんの辺野古移設容認はウチナーンチュ(沖縄の人)として恥ずかしかったから」と話し「今回の民意の結果を無視して辺野古移設を強引に進めれば暴動が起きる」とも。
政府が辺野古移設を進める名護市。元中学校教諭、山城正二さん(79)は保革の枠組みを超えた翁長さんに「島ぐるみの民意を託した知事の誕生。沖縄に新しい時代が来る。民主主義を標ぼうするなら日米両政府は私たちの民意をくむべきだ」と語った。
一方、冷めた見方も。棄権したという沖縄市のミュージックバー経営、内間満さん(50)は「投票しない権利を行使した」。沖縄に米軍基地が集中することは容認しがたいとしながらも、争点が辺野古移設の是非に絞られたことで「イエスかノーかの感情論が先走り、長期的なビジョンを示す論争がないまま終わってしまった」と嘆いた。
那覇市の国際通り近くの日用雑貨店で開店準備をしていたパートの女性(49)は「正直なところ、那覇市民の多くは基地問題にそこまで関心がないと思う。基地問題よりも景気対策に力を入れてほしい。仲井真さんでなくて翁長さんというのは、世代交代のタイミングというだけだったのでは」と淡々と話した。