学徒出陣:慰霊や検証どのように…母校が初の全国調査実施

毎日新聞 2014年11月17日 14時45分(最終更新 11月17日 14時45分)

 第二次世界大戦中の「学徒出陣」について戦後、母校がどのような慰霊を行い、今後続けていくかを聞くアンケートが、研究者によって行われている。資料に乏しかったことなどから、戦後長く、アカデミズムでは学徒出陣の研究が進まなかった。学生を戦争に送り出した大学が戦後、その責任とどう向き合ってきたかを明らかにする、初めての全国調査だ。

 大学の研究者らからなるロバアト・オウエン協会(会長・中川雄一郎明治大教授)が、当時学徒を送り出した大学や旧制高校を母体とする大学など168校を対象に調査。これまでに北九州市立大や関西学院大、東京芸術大など26校から回答があった。戦後、戦没者の追悼行事を行ったか▽出陣70年の昨年、関連行事を行ったか▽「敗戦」70年の来年に何か行事を行うか▽将来、戦時の大学史の作成、戦争関連の研究・講座を設置するか−−の4項目を聞いた。

 出陣経験のあるOBへの聞き取りを行い、書籍を刊行した(中央大)▽(昨年)シンポジウムを行った(東京大)▽1990年に平和祈念碑を建立して以降、毎年祈念祭を開いている(早稲田大)のように、積極的に取り組む大学がある。

 一方で4項目とも「行っていない」「なし」といった回答も14校あり、姿勢の違いが浮き彫りになっている。

 同会は「戦後70年を前に戦争体験者が激減し、一方で若者の戦争に対する知識が乏しくなるなか、大学と戦争の関係を考えることは重要」と調査に踏み切った。締め切りは今月21日。回答数が少ないため、同会は呼びかけを強める。

 学徒出陣研究の第一人者で、調査の中心となっている白井厚・慶応大名誉教授は「大学は他大学が何をしているのかを把握していない。調査結果を見て『こんなことができるのか』と参考にしてほしい」と話している。【栗原俊雄】

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