普天間基地移設、18年間迷走の末に振り出しか

沖縄県知事選で県内移設反対派候補が圧勝
県内移設を推進する安倍首相に冷や水
米日両国の新たな争点にも

 16日に行われた沖縄県知事選挙で、米軍普天間飛行場の同県外または日本国外への移設を公約した翁長雄志候補(64)が当選した。これにより、普天間飛行場の移設事業に支障が生じることとなり、来月に衆議院の解散・総選挙を行おうとしている安倍晋三首相にも冷や水を浴びせる形になった。

 テレビ朝日は16日午後10時、開票の途中経過や出口調査の結果を基に、翁長候補が当選したと報じた。知事選には4人が出馬したが、普天間飛行場を沖縄県内の名護市辺野古地区に移設することに賛成する仲井真弘多・現知事(75)と、「県内への移設は米軍基地の新設と同じだ」として反対する翁長候補の事実上の一騎打ちとなった。同日午後10時30分、開票率50%の段階で、翁長候補は17万票を獲得し、仲井真候補(14万票)に圧勝した。投票率は64%だった。

 普天間飛行場には、韓半島(朝鮮半島)の有事の際に動員される米海兵隊を輸送する垂直離着陸機など、70機ほどの飛行機やヘリコプターが配備されている。米日両国は、普天間飛行場が住宅街の中にあるため夜間の訓練が困難で、閉鎖を求める住民の声も根強いことを考慮し、1996年に沖縄県内のほかの地域への移設に合意した。両国は2006年、辺野古地区の沿岸を埋め立てて、1600メートルの滑走路2本と港湾を備えた複合型の軍事施設を建設し、普天間飛行場をここに移設するとともに、海兵隊の要員8000人を米領グアムに移すという計画を決定した。来年には埋め立て工事に着手し、2022年に普天間基地の移設を完了する方針だった。

 安倍首相は、沖縄の地域振興のため年間3000億円を拠出する計画を発表するなど、総力を挙げて仲井真知事を支援した。だが、県民の自民党への反感や、米軍の駐留に反対する感情を抑えることはできなかった。沖縄では第2次大戦中、民間人10万人が死亡した。その多くは旧日本軍に強要され自決した人たちだった。米軍兵士による性的暴行事件などで、米軍に対する反感も根強い。翁長候補は16日の記者会見で「日本の国土面積の0.6%にすぎない沖縄に、在日米軍施設の74%が集中している。知事の権限をフルに活用し、(普天間飛行場の)辺野古への移設を阻止する」と述べた。

 今年1月には、辺野古地区が属する名護市の市長選挙でも、普天間飛行場の同地区移設反対派が再選を果たした。日本政府は、地元の知事と市長が基地の建設に関する許認可を拒否した場合、行政訴訟を起こしてでも工事を進める意向だが、工期が遅れる可能性がある。

 普天間飛行場の辺野古地区への移設を延期または断念することになった場合、米日両国の新たな争点になり得る。2009年、鳩山由紀夫首相(当時)が普天間飛行場の沖縄県外への移設を公約したことで、両国にとっての最大の懸案になった。安倍首相が検討しているとされる来月の総選挙にも悪影響を与えかねない。沖縄県知事選で共産党や社会民主党、生活の党が支援した翁長候補が当選したことで、総選挙において野党が候補者の一本化を図る動きも本格化するとみられる。

東京=車学峰(チャ・ハクポン)特派員
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