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 70年前に日本軍による「インパール作戦」が行われたインド北東部インパール近郊で16日、遺族らが参加して戦没者の慰霊追悼式が行われた。東京都と横浜市から訪れた遺族計3人が、慰霊碑に献花をして手を合わせた。

 インパール周辺では1944年、日本軍がミャンマーからインド方面を目指して侵攻したが、補給を軽視した無理な作戦で、戦闘だけでなく飢えや病気でも多くの死者を出し、撤退した。遺族ら3人は日本政府派遣の慰霊巡拝団として現地入りし、インパール作戦の激戦地レッドヒルに日本が94年に建てた慰霊碑に献花した。

 東京都板橋区の大嶋豊信さん(72)の父勲さんは44年7月、インパール近郊の山中でマラリアにより病死した。「私はすでに、父の倍以上生きてしまった。家族を残して死ぬことは、断腸の思いだったはず」と当時の父親の心中を思う。

 大嶋さんは、勲さんの写真を慰霊碑に飾り、手を合わせた。召集前に家族で暮らしていた上海でテニスをしている姿の写真だ。「ずっと心の中にあったつかえがようやくとれた気がする。戦争をしない、させない世の中にしなければならない、と改めて思った」と話した。(インパール=貫洞欣寛)