国際会議での失敗が、英語トラウマになって
僕は、環境に関する技術者として東芝で働いていたのですが、ある程度、長く勤務して責任ある立場になってくると、科学分野の知識だけでは済まなくなるんですね。「新しい海外プロジェクトに携わってくれないか?」というような要請もありますし、リーダーシップが必要になります。つまり、言われたことだけをこなしていればいい、実験だけを毎日やっていればいい、という状況ではなくなってくる。そこで、留学してビジネスを学びたいと思ったわけです。やっぱり、これからは英語を使って海外と仕事をしなければならないよな、と自分に言い聞かせ、カナダの専門学校KGIBCで学ぶことにしました。
英語に関して言うと、東芝に入社してから5年以内にクリアしなければならない社内英検も、合格していましたし、海外のエンジニアともそれなりに会話してきました。ですが、僕には、かつて国際学会で発表した時の失敗というのがありまして、それが悪夢のように思い出されるんです。ポスターセッションと言って、自分の作ったパネルを置いておき、研究者らの質問を受けるのですが、質問をされても英語がよく聞き取れず、的外れな答えしかできなかったのです。「もっと色々、質問したいこともあったけれど、残念だよ」とその研究者に言われた時のショックは、今でも忘れられません。それ以降、人生で絶対に越えなければいけない壁として英語を学ぶ必要性を感じ続けていたのです。
カレッジで最も難しいビジネスコースへの挑戦
会社も辞めたことですから、この際、徹底的に英語をやってみようと思いまして、まず英語学校の ESLで勉強しました。ESLでは、レベル1から5まであったのですが、すべてのクラスでレベル5を目標にして、文法やリスニング、リーディング、ライティング、対話、を学びました。そのくらいのレベルがないと、僕が入ろうとしていた 専門学校KGIBCのビジネスクラスには入れないとも聞いていましたので、必死でしたよ。
語学学校のKGICでは、ビジネスの準備コースやスピーキングのコース、翻訳のコースも受講しました。そして、このカレッジで最もレベルの高いビジネスマネージメントコースに進み、マネジメントや、マーケティング、グローバリゼーション、企業分析、そして、起業、人事、アカウンティングからファイナンスまでを専門的に学びました。
ビジネスコースは、ESLなどとはまったく雰囲気も違いました。とにかく、意識が高くて、学んだことを何が何でも自分の将来に生かしてやろう、みたいな雰囲気なんですね。将来、真剣にビジネスをやっていこうというような学生が多いんですよ。僕のようにビジネス経験がある人もいて活気がありました。
授業の課題なども刺激的でした。例えば、〈競合する二つの企業を選んで比較し、劣勢側の企業を、圧倒的に優位にするための方法を考えよ〉といった具合です。クラスは、15人ぐらいですが、毎朝、学生は、自分でニュースを探してきて世界の動きを発表するわけです。 そして「今日のテロ は…」「アップルの新製品は…」と各々が説明しなければならないのです。
英語レベルも高くて、皆が自分の意見をガンガンぶつけてくるんですよ。いろんな意見交換をするうちに、各国の文化の違いも学び取れました。
専門留学を経て、英語力も格段に伸びたと実感
英語力も、格段に伸びましたね。ビジネスコースに進むには、TOEIC750以上必要ですが、そのときの入学試験の成績は、すごく良くて自分でも驚きました。最終成績はさらに良かったんですよ。ABCの5段階評価で80%コンプリートするとAがもらえるんですが、僕は、すべてAでした。
帰国してからは、ここで学んだ知識などをもとに、新たな事業を立ち上げることも選択肢の一つに入れることになりました。それまでは、僕には科学をベースとした、技術者や研究者でないと相応の成功もできないのかな、と思っていましたが、ビジネスコースに進んでいろいろ学んでいると、いろいろな可能性が見えてきました。ビジネスを学んだことで、貿易にも関心が広がりましたし、今、その可能性を模索しているところです。
- 鈴木健さんプロフィール
-
埼玉大学大学院卒業。環境技術の専門家として東芝勤務。退社後カナダでビジネスマネジメントを学ぶ。
HISTORY
- 2009年1月
- King George International College(KGIC)入学
- 2011年3月
- 同校の専門学校(KGIBC)入学
- 2011年10月
- 企業でインターンシップ
卒業写真。スピーキング大会の歴代優勝者の一人としてボードに名前を残すことができた。
ESLを先に卒業する友人のため、再会を願い、カナダの国旗にメッセージを書いて贈った。
- 「留学の収穫」
世界中を飛び回るのが目標 -
私の場合は、科学者として働いてきたので、その分野でしか成功するのは難しいだろうと思っていたんですが、ビジネスマネジメントを学ぶと視野が広がり、科学者ではない道も見えました。留学先では一緒にビジネスしたいと思える優秀な友人とも出会えました。
- 出発前の英語力と現在の英語力
-
基礎的な英語力が不足していると感じ、語学学校で徹底して学習。Power Speaking & Modern Media(PMM)というコースで、スピーチの学習もして、 Speaking の大会では優勝した。その実力を買われ、震災直後の援助基金を集めるスピーチのスピーカーにも抜擢された。通訳・翻訳も学び、英語それ自体だけでなく英語を如何に使うかを学び、対話力は留学で格段に伸びたと実感。
メールでのご質問・相談は、こちらのフォームよりお送り下さいませ。››お問い合わせフォーム
【お電話の受付時間】月~金:10時~19時、
土:10時~18時、日祝日はお休みです。