選挙:沖縄県知事選 ぶれぬ沖縄の選択 翁長さん手踊りで喜び 「基地問題、心一つに」
毎日新聞 2014年11月17日 大阪朝刊
大阪の沖縄関係者らからは「沖縄にとっても本土にとっても大きな岐路になる」とする声が上がった。沖縄出身者が多い大阪市大正区で沖縄文化を発信する「関西沖縄文庫」を主宰する金城馨(きんじょうかおる)さん(61)は「政府は、知事選の結果にかかわらず辺野古移設を進めるとしているが、沖縄の移設反対の声を無視はできないだろう」と話した。「保守や革新という従来の対立を超え、沖縄のアイデンティティーを打ち出した翁長氏が勝ったことは、沖縄の歴史の転換点になるかもしれない」と話した。
沖縄県北中城(きたなかぐすく)村出身で、大阪大大学院博士課程で国際政治を研究する大城尚子(おおしろしょうこ)さん(34)=大阪府豊中市=は「かつて民主党政権が県外移設を訴えた時、本土で基地を受け入れようという動きは出なかった。同じことをまた繰り返すのか。本土の人々にとっても大きな岐路になる」と話した。【遠藤孝康】
◇「県外移設、理想諦めぬ」
沖縄県民は知事選で、政府が進める普天間飛行場の辺野古移設に反対する意思を示した。だが政府は「辺野古移設が唯一の解決策」との姿勢を変えない。普天間飛行場がある宜野湾市民の思いは複雑だ。
「理想と現実の間で揺れる日々がこれからも続く」。宜野湾市大謝名(おおじゃな)に住む大城ちえ子さん(60)は知事選結果をそう受け止める。
「理想」は県外移設、「現実」は米軍機の騒音に苦しむ日常生活だ。「県外に引き受けてほしいが、候補地がない。辺野古移設がなくなれば、普天間飛行場が固定化しないかと、正直心配になる」
自宅は普天間飛行場から約400メートル。滑走路の延長線上だ。新型輸送機オスプレイ特有の重低音に悩まされる。政府はオスプレイの県外訓練を増やすと言うが、目立った進展はない。
熊本県出身。沖縄出身の夫と結婚して移住し、本土より沖縄での暮らしが長い。突然永田町で動き出した衆院解散・総選挙の流れが心配だ。辺野古移設を拒否する知事を初めて選んだ県民の審判への関心が薄まりかねないと思うから。「沖縄が悩んだ末に出した答え。政府、本土は『県外は無理』で終わらせず、結果に向き合ってほしい」
宜野湾市宜野湾に住む中村桂(かつら)さん(41)も知事選の結果に「複雑としか言いようがない」と漏らした。