GDP:景気低迷、鮮明に 年率1.6%減
毎日新聞 2014年11月17日 11時51分(最終更新 11月17日 12時04分)
消費再増税で最大の判断材料とされた7〜9月期の実質GDP成長率は年率で1.6%減と2四半期連続のマイナス成長となり、今春の消費増税後の景気低迷が鮮明になった。増税や物価上昇の影響で実質的な所得が目減りし、消費低迷が続いているためだ。安倍晋三首相は近く再増税の先送りと衆院解散を表明するが、野党などから「アベノミクスの失敗」との批判が強まるのは必至だ。
政府は当初、増税前の駆け込み需要の反動で4〜6月期はマイナス成長に落ち込むものの、7〜9月期は消費低迷から持ち直すシナリオを描いていた。しかし、夏場に入っても消費は勢いを欠いたまま。台風や大雨の影響もあったが、政府内でさえ、景気の現状について「天候不順は単なる言い訳。実質所得の目減りの影響が大きい」(経済官庁幹部)との危機感が強まっていた。
前回増税した1997年は物価が下落するデフレ局面に差し掛かっていたが、今回は日銀による大規模な金融緩和で円安が進み、物価が上昇。これに賃金上昇が追いつかず、家計の重しとなった。安倍政権は円安で輸出が増加する「アベノミクス効果」を期待していたが、生産拠点の海外シフトなどで、想定外に輸出の伸びが弱かった。景気低迷の長期化は政権にとって大きな「誤算」と言える。
政府は景気下支えに向けて、経済対策を盛り込んだ2014年度補正予算を編成する方針。衆院選を前に、大型補正を求める声が与党内で高まりそうだ。一方、消費再増税の先送りは、膨大な財政赤字のツケを将来世代に押しつけることを意味する。アベノミクスが目指すとしてきた「経済再生と財政再建の両立」の実現は厳しさを増している。【小倉祥徳】